開始4分でノックアウトの時点で試合の興味は薄れた。それでも見逃せなかった久保のファインプレー

2023年06月16日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

25分のゴールに目を奪われがちだが

エルサルバドル戦で好プレー。右ウイングの久保は確かな存在感を示した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]日本 6−0 エルサルバドル/6月15日/豊田スタジアム

 開始4分でノックアウト。相手がひとり退場して、2−0となった時点で試合の興味が薄れたファン・サポーターはもしかすると少なくなかったかもしれない。あのレッドカードは妥当な判定だが、早い段階で数的優位を得た日本の評価が難しいゲームとなった。

 ただ、立ち上がりから畳み掛け、狙い通りに見えたセットプレーで先制弾(久保のFKに谷口がヘッドで合わせた)を叩き込み、すかさず上田が敵陣エリア内でファウルをもらうまでの展開は素晴らしかった。猛ラッシュで相手を襲うアグレッシブさがあったからこそ、開始4分で2点リードという結果になったのだろう。

 2−0になったあとも失点せず、逆に得点を重ねて大勝した点も評価できる。確かに攻撃の最終局面でつまらないパスミスがあり、中途半端なポジショニングからカウンターを食らうシーンもあったが、サッカーでミスは付き物。2−0から2−1とされず、3−0、4−0として勝利を決定づけた点では、的確なボール捌きでチームを落ち着かせたアンカーの守田や両CBの板倉と谷口の貢献が見逃せない。

 前半の守田はそれこそ司令塔的な役割を完璧にこなした。ボールの受け方、もらう位置はほぼ完璧で、アンカーの位置であれだけ収めてくれたら味方は楽だろう。ひとり少ない相手、しかもほぼプレスされない状況下を差し引いても、前半の守田は相応の仕事をしたと言えるだろう。
 
 後半も含めれば、この日のマン・オブ・ザ・マッチには旗手を推したい。そもそも運動量が求められるインサイドハーフで絶えず動き回り、フル出場。信じられないくらい上下動を繰り返し、しかもプレーのクオリティが低くない。ゴールやアシストこそなかったものの、彼の献身的かつ精力的な動きは相手の出来に関係なく称賛に値した。

 エルサルバドル戦でもっとも印象深いシーンを挙げるなら、32分の久保の動き。具体的に言えば、三笘が左サイドからカットインしてエリア内に侵入するタイミングで、エリア内の中央付近にいた久保がスペースを作るためにそこからスッと右に移動したアクションだ。

 三笘のドリブルを邪魔しないどころか、有効活用するファインプレー。25分のゴールに目を奪われがちだが、こうした判断ができるところも久保の魅力のひとつである。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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