移籍専門記者による強化部門解説|リバプール編「クロップの意向がどう反映されるか、今冬の動きに注目だ」

2015年12月30日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

過去数年はロジャースの発言権が強くなり、場当たり的な補強が目立った

エアーCEO(左)をはじめとする「トランスファー・コミッティー」で強化戦略を練るリバプール。クロップ(右)就任後では初のメルカートとなる今冬の動きに注目が集まる。(C)Getty Images

 ブレンダン・ジャースからユルゲン・クロップへと監督が交代しても(2015年10月)、強化戦略を策定する手法に変化はない。
 
 専任の強化責任者を置かず、イアン・エアーCEO、監督、マイク・ゴードン取締役、そしてチーフスカウトにしてクラブや代理人との交渉窓口にもなっているバリー・ハンターによる合議制だ。
 
 過去数年はこの「トランスファー・コミッティー」のなかでロジャースの発言権が強くなり、中・長期的な視点よりも目先の状況に振り回された、場当たり的な補強が目立った。
 
 明らかな失敗に終わったマリオ・バロテッリの獲得、スティーブン・ジェラードの退団やラヒーム・スターリングの放出も、その影響と言える。
 
 新指揮官のクロップも補強に関しての発言権を就任の条件に挙げており(ドルトムントでも発言権は小さくなかった。2014年夏にミヒャエル・ツォルクSDがマッティア・デストロの獲得を望んだのに対し、チーロ・インモービレを強く推して獲得させたのはその一例)、今冬のメルカートには彼の意向が反映されるだろう。
 
 監督とクラブの力関係がどのようなものになるかを見定めるうえでも、今冬の動きには注目だ。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2015.11.19号より加筆・修正
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。父は70~90年代にナポリ、ジェノア、レッチェなどで監督を歴任し、現在はTVコメンテーターのジャンニ・ディ・マルツィオ。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。父を通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。発信するニュースはすべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではない。
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