移籍専門記者による強化部門解説|ドルトムント編「敏腕SDのツォルクを中心にすこぶる機能する」

2015年12月30日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

即戦力だけでなく、育成年代の若手もしっかりカバー。

強化部門を仕切るSDのツォルクは、現役時代にドルトムント一筋を貫いた元ドイツ代表MF。論理的な補強戦略に基づき、絞り込んだターゲットとの交渉をスピーディーにまとめ上げる敏腕だ。(C)Getty Images

 補強予算の最終決定権を持つのはCEOのハンス=ヨアヒム・ヴァツケ。ただ、強化部門で最も大きな権限を持つのは、スポーツディレクターのミヒャエル・ツォルクだ。
 
 代理人や他クラブから高く評価される敏腕で、論理的な補強戦略に基づき、絞り込んだターゲットとの交渉をスピーディーにまとめ上げる。ヨーロッパの若手スポーツディレクターのなかでは、セビージャのモンチと並んで、最も優秀なグループに分類されるだろう。
 
 ツォルクをサポートするスタッフも、精鋭揃い。世界中にスカウト網を張り巡らし、即戦力だけでなく育成年代の若手もしっかりカバーする。
 
 ユルゲン・クロップからトーマス・トゥヘルに監督が代わり、2015年夏は見送った大幅な刷新が、2016年夏にも断行されるかもしれない。そのときは、ツォルクの手腕が遺憾なく発揮されるはずだ。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2015.11.19号より加筆・修正
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。父は70~90年代にナポリ、ジェノア、レッチェなどで監督を歴任し、現在はTVコメンテーターのジャンニ・ディ・マルツィオ。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。父を通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。発信するニュースはすべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではない。
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