「始まるのも早かったし、終わるのも遅かった(笑)。でも…」遠藤航が異例の1年を振り返る。大一番では頭脳プレーも【現地発】

2023年06月12日 中野吉之伴

遠藤は守備だけの選手ではない

シュツットガルト加入4年を数える遠藤。今季も絶対的な主軸として33試合に先発した。(C)Getty Images

 遠藤航といえばデュエルの強さが代名詞とされている。タイミングの良いアプローチと鋭い出足、そして抜群のボディバランスでしなやかにボールを奪ってしまう。

 でも遠藤は守備だけの選手ではない。所属クラブのシュツットガルトでは本職のボランチのほか、昨季も今季もチーム事情でよりオフェンシブなプレーが求められるインサイドハーフとしてもプレー。そこで求められるタスクにも試合を重ねるごとに順応性を示してきた。

 パスを展開するだけではなく、パスを引き出す。そして味方の動きを生み出すためにスペースを作っていく。そうしたプレー経験の蓄積がオフ・ザ・ボールのプレークオリティの向上へとつながる。

 セバスティアン・ヘーネスが今季チーム4人目の監督として就任した後、再びダブルボランチの一角として起用されるようになった遠藤だが、攻撃への推進力は残したまま。本人はそんな攻撃へのアプローチをテーマとして取り組んでいることを明かしてくれた。
 
 リーグ16位でレギュラーシーズンを終えたシュツットガルトは、2部3位のハンブルガーSVと入れ替え戦に臨んだ。この2試合でも遠藤は守備だけではなく、攻撃面で何度も貴重な働きを見せていた。

 チームのキープレーヤーとしてハンブルクからの警戒も強いので、日本代表MFのところには強烈なプレスが連続で来るが、正確なサイドチェンジや素早い縦パスがあれば、ペナルティエリア付近にスッと顔を出してチャンスメイクに絡むこともある。

 ハンブルクのホームで行なわれたセカンドレグでは、前半開始早々に相手にリードを許したが、後半開始直後、まさに試合の流れを変えたのは遠藤のワンプレーだった。素早いパスをセロ・ギラッシーに送り、そこからの折り返しをエンゾ・ミヨがダイレクトで決めた。

「ああいうチャンスは絶対に来ると思っていた。同点に追いついたシーンでは落ち着いていたというか、ファーストタッチの置き所が良かったと思う。ファーストタッチが全てだったと思います」

 この日、前半唯一の決定機を生んだのも背番号3だった。18分、左サイドへ抜けてパスを受けるとダイレクトでゴール前に折り返す。このパスをセル・ギラシーがゴールしたが、VARチェックの結果、直前のプレーがオフサイドだったためノーゴールの判定となったものの、パスを呼び込むタイミングとコースは抜群だった。
【動画】豪快ボレー!遠藤航の鮮烈弾をプレイバック

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