死力を尽くしたPO準決勝。デュエルでも奮闘した斉藤光毅はなぜPKを蹴らなかった?「いろんなところが攣ってました」【現地発】

2023年06月05日 中田徹

意外性のあるパスでチャンスメイク

ユトレヒトとのPO準決勝でも奮闘した斉藤。屈強なDF相手には巧みな技術で対抗した。(C)Getty Images

 来季のカンファレンスリーグ出場権をかけたオランダリーグのプレーオフ準決勝で、スパルタとユトレヒトが死闘を演じた。

 1985-86シーズンのUEFAカップ1回戦で、スパルタがPK戦の末、格上のHSV(当時、西ドイツ)を破った試合は今も語り草だ。最近になってもルイ・ファン・ハールは「私の蹴ったPKは素晴らしかった」と自慢げに語り、GKのバス・ファン・ノールトワイクは永遠のヒーローだ。ユトレヒトもまた欧州カップ戦で多くの美しい思い出を積み重ねてきたクラブだ。

 そんな歴史を持つ両チームは6月1日の第1レグからフルパワーでぶつかり合い、激しい消耗戦の末、1勝1敗(2戦合計2-2)のタイに。結局PK戦(5-4)でスパルタが勝ち上がり、トゥエンテとの決勝戦(8日&11日)を戦うことになった。

 第2レグの延長戦を含めて210分間、強度の高い試合をハイパフォーマンスで乗り切ったスパルタの斉藤光毅は「凄かったですね。やっぱりこういう試合はプレーしていて楽しい。PK戦の時なんてハラハラして、本当にヤバかった。蹴らなかったですけれど」と振り返った。
 
 3トップシステムの左ウイングを務める斉藤は、得意のカットインシュート、クロスへの飛び込みなどからユトレヒトゴールを襲うも決めきれなかった。87分からストライカーにポジションを移した斉藤は、「FWに入ってからちょっと『ゾーン』に入りました」という状態で、巧みなポストプレーでユトレヒトのDFを翻弄し、意外性のあるパスでチャンスメイクをした。

 特に秀逸だったのは、ユトレヒトの巨躯CB陣とのデュエルだった。空中戦では背中を上手く使いながらポジショニングで優位に立ち、フィフティ・フィフティの状況を作り出す。地上戦・半空中戦では敵CBの懐に意表を突くタイミングで潜り込み、ボールをしっかり収めてからアクションを起こす。

「この(小柄な)体型であまり知られてないんですけれど、そこは得意なんですよ。(デュエルに)勝てないと分かったら、相手にとって嫌なことをすることに切り替えて(CBとの勝ち負けのつかないデュエルに持ち込み)味方がセカンドボールを拾いやすいようにプレーしてます」

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