どの相手にも五分五分に戦える福岡だが、5戦未勝利と停滞。いまだ発展途上で、戦い方の幅、臨機応変さに欠くのが現状だ

2023年06月04日 中倉一志

危険な時間帯にあっさりと失点

G大阪戦は逆転負け。2連敗で5戦未勝利と苦しい状況が続く。写真:滝川敏之

[J1第16節]福岡 1-2 G大阪/6月3日/ベスト電器スタジアム

 福岡が苦しんでいる。

 上位チームとの対戦が多くなる4月中旬からの戦いが上位進出のカギと見られていたが、8節・新潟戦で衝撃的な逆転負けを喫してから1勝3分5敗。直近の5試合では勝ち星がないなど、開幕当初の勢いが消えた。

 この間の得失点は8得点、15失点。質が足りないとされる得点力もさることながら、9試合中6試合で複数失点を喫するなど、福岡の最大のストロングポイントである堅守が陰りを見せている。

 高い位置からの連動したアグレッシブな守備というコンセプトに変わりはない。いずれの試合でも、そのスタイルで相手の攻撃を封じ込めている時間帯はある。質の高い選手が揃う上位チームとの対戦では、局面の争いで後手を回ることもあるとは言え、球際の強度も高さを保ててはいる。

 だが、サッカーで言われる危険な時間帯にあっさりとゴールを許してしまう試合が続いている。
 
 それぞれの試合に共通するのは、自分たちの戦い方を表現できない時にアジャストすることが難しいという点だ。顕著なのは逆転負けを喫した先述の新潟戦と、12節・広島戦。いずれも前半は相手を圧倒して先制。しかし、相手の修正に対応できずに後半は防戦一方。そのまま逆転負けを喫した。

 今節のG大阪戦でも早々に先制したものの、その直後から前への意識を高くする相手にまったく対応できなくなり、なすすべもなく簡単に逆転を許した。

 9節・札幌戦、10節・川崎戦、そして15節・横浜戦では、最も注意すべき立ち上がりから防戦一方に追い込まれ、抵抗することもできないままに早々と失点を喫したのも、相手のやり方に対応できなかったことが要因だった。

 10人の相手に攻めあぐねてスコアレスドローに終わった13節・鳥栖戦も同一線上にある。緊迫したゲームも前半の主導権を握っていたのは福岡。だが10人になって戦い方を変えた鳥栖に対して、アジャストできないまま単調な攻撃を繰り返した。

【PHOTO】福岡の出場14選手&監督の採点・寸評。好機演出の山岸は存在感を示す。3か月ぶりに復帰の井手口は及第点の出来

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