【セリエA】前半戦総括「王者ユーベの不振によって近年稀に見る混戦模様に」

2015年12月24日 片野道郎

主役を演じたのは攻撃サッカーのナポリとフィオレンティーナだ。

ともに新監督の下で攻撃サッカーを機能させるナポリとフィオレンティーナ。8節の直接対決はハイクオリティーかつスリリングな名勝負だった。(C)Getty Images

 近年にない混戦模様のスリリングな前半戦だった。その最大の要因は、目下4連覇中で今シーズンも下馬評では優勝候補筆頭だったユベントスの不振。テベス、ピルロ、ビダルという退団した主軸3人の穴がなかなか埋まらず、なんとかチームとしての形が固まったのは、マンジュキッチ、ディバラという前線の新戦力が2トップとして機能するようになった11月以降。首位との勝点差は一桁にとどまるだけに、後半戦の追い上げが期待される。
 
 前半戦の主役を演じたのは、新たな指揮官を迎えたナポリとフィオレンティーナ、そしてインテル。なかでも最大のサプライズはフィオレンティーナだろう。P・ソウザ新監督は、前任者モンテッラから引き継いだポゼッションという幹にアグレッシブなハイプレスという最新の戦術を接ぎ木して、快活でスペクタクルな攻撃サッカーを短期間で完成させた。戦術的には今シーズン最も注目すべき存在だ。
 
 そのフィオレンティーナを上回る強さを見せているのが、サッリ新監督率いるナポリ。少ないタッチで速くシステマチックにボールを動かすビルドアップから、インシーニェ、イグアインの傑出した個人能力によるフィニッシュまで、流れるようにつながる攻撃は破壊力抜群だ。
 
 これまでのセリエAには見られなかった攻撃的なスタイルで主役を演じるこの2チームに対し、イタリアらしい結果重視の堅守速攻スタイルで1-0の効率的な勝利を積み重ねて首位に立つのが、マンチーニ監督2年目のインテルだ。ミランダ、ムリージョのCBペアを中核とする守備ブロックは1試合平均失点0.64と鉄壁を誇っており、落ち着いて1点を守りきるチームとしてのしたたかさがしっかり身についている。
 
 やや期待を裏切ったのが、得点も失点も多く浮き沈みの激しいローマと、ミハイロビッチ新監督の戦術がチームに浸透しないミラン。とはいえ、まだこの2チームにもスクデット争いに参入するチャンスは十分残っている。
 
文:片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト』2016.01.07号より加筆・修正
 
【2015-16 セリエA順位表(17節終了現在)】
1位 インテル(勝点36/23得点・11失点)
2位 ナポリ(勝点35/31得点・13失点)
3位 フィオレンティーナ(勝点35/33得点・15失点)
4位 ユベントス(勝点33/28得点・14失点)
5位 ローマ(勝点32/32得点・18失点)
6位 ミラン(勝点28/24得点・21失点)
7位 エンポリ(勝点27/23得点・22失点)
8位 サッスオーロ(勝点27/20得点・15失点)
9位 アタランタ(勝点24/19得点・19失点)
10位 ラツィオ(勝点23/20得点・26失点)
11位 キエーボ(勝点22/21得点・18失点)
12位 トリノ(勝点22/21得点・20失点)
13位 ウディネーゼ(勝点21/15得点・24失点)
14位 サンプドリア(勝点20/24得点・26失点)
15位 ボローニャ(勝点19/19得点・24失点)
16位 パレルモ(勝点18/17得点・26失点)
17位 ジェノア(勝点16/15得点・23失点)
18位 フロジノーネ(勝点14/17得点・34失点)
19位 カルピ(勝点10/15得点・33失点)
20位 ヴェローナ(勝点8/12得点・27失点)
※CL出場権獲得=1~3位、EL出場権獲得=4~5位(+コッパイタリア優勝チーム)、セリエB降格=18~20位
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