改めて“川崎らしさ”を象徴した大島僚太。彼のプレーはやはり面白い

2023年05月29日 本田健介(サッカーダイジェスト)

巧みなポジショニングなどポゼッションに絡む

登里のゴールに笑顔を見せる大島。周囲とよく連動した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第15節] 川崎2-0柏/5月28日/等々力陸上競技場

「質とイメージの共有が非常に重要だというところを改めて認識して、今日のメンバーにしました」

 ルヴァンカップを含め公式戦3連敗を喫していた川崎は、鬼木達監督がそう語ったように、経験豊富なメンバーで臨んだ柏戦に2-0で勝利。ホームで嫌な流れを断ち切ってみせた。

 殊勲は長年チームを支え、ゴールを奪った小林悠と登里享平だ。もっとも左ウイングに入った宮代大聖、新守護神の上福元直人、攻撃の要である家長昭博ら多くの選手も勝利に貢献する働きをした点も強調すべきだろう。

 そのなかで改めて川崎"らしさ"を象徴したのが大島僚太である。

 負傷からの復帰後、フル稼働とはいかずも、徐々に出場時間を伸ばす10番は、この日は4-3-3のインサイドハーフで先発。柏が前から奪いにこなかった影響もあり、ポゼッション率を高めた川崎にあって、巧みなポジショニングでボールに絡めば、正確にリズミカルにパスをつないでいく。登里による追加点も大島のロングフィードが起点だった。

 まさに、ボールを大切に、相手を見て柔軟に立ち位置を変える川崎のベースと呼べるパフォーマンスを体現したと言えるだろう。

 連動したプレーに「今日は楽しみながらやれましたし、改善点ももちろんありますが、チャンスを多く作れたので、これを継続して形にしていけば良いサッカーができるんじゃないかな」と大島から多くのパスを受けた小林もポジティブな言葉を残している。
 
 もっとも当の大島は冷静だ。チームの変化を捉えながらアップデートを試みている。

「今チームとしてやろうとしているところは、前に走る部分だとか、そういうところがあります。僕自身、そこはもちろんストロングではない部分でもあるので、取り組みも含めてやっています。

 そこに関しては今後もやっていくはずですが、やっぱりボールをしっかりつなぐところだったり、失う回数が少なければ相手のチャンスも減ります。極論、ボールを奪われないようにできれば」

 まだ完調ではないのだろう。この日も67分にベンチに下がっている。ポストに当ててしまったように華麗な崩しから迎えた決定機もモノにしたかったところだ。

 今後に向けては「相手ありきのところなので(多くのチャンスを作れた今日の出来は)なんとも言えないですが、イメージを共有できないところは今後、出てくるでしょうし、そういう時にこそ、声かけでみんなが思い切りプレーできるように心掛けたいです」と彼らしい言葉を残す。

 10番が楽しそうにプレーすれば、チームが華やぐのだから不思議なものである。

 過度な期待は禁物だが、サッカーの魅力を伝えてくれる男がピッチにいる幸せを今は感じ取りたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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