［J１第15節］ 川崎２－０柏／５月28日／等々力陸上競技場

　21分、相手DFのミスを突いて川崎の小林悠が先制ゴールを奪って迎えた前半アディショナルタイム。チームに貴重な追加点をもたらしたのは左SBの登里享平だ。

　大島僚太からのロングフィードを敵陣左サイドで受けた登里はボールを運びながら、脇坂泰斗とのワンツーで右へカットイン。ペナルティエリアに入るか否かの場所で利き足ではない右足を振り抜き、豪快に決めてみせた。

　10節の福岡戦でのリーグ６年ぶりのゴールに続く、今季２点目となるゴラッソだ。さらに公式戦３連敗中だったチームの勝利をグッと引き寄せる一発とあって、喜びもひとしおだったのだろう。

　大いに喜んだわけだが、直後、小林に後方から抱きつかれると、急に登里がその場にうずくまる。肩を負傷したようで担架で運ばれる事態となったのだ。

　その直後にハーフタイムを迎え、一時は交代も考慮されたという登里だが、後半のピッチにも前半同様にキャプテンマークを巻いて登場。90分戦い抜き、勝利に貢献した。
 

　登里が肩を痛めた場面、苦楽をともにしてきた小林にとっては登里がゴールを決めてくれた喜びがあったようだ。苦笑いしながら振り返る。

「嬉しくて抱きついたら……申し訳ないなと。ちょっと焦りました。ただ、追加点を奪えてホッとしたのと、ノボリが取ってくれたというのが特別で嬉しかったんです」

　大卒の小林と高卒の登里は年齢こそ違えど、クラブ一筋でともにチームを長年支えてきた、いわば戦友だ。ふたりの絆があったからこそ、アクシデントにつながったとはいえ、誰よりも早く登里のもとに駆け寄った小林の姿は印象深いものもあった。

　肩を痛めたことで、子どもと約束していたウルトラマンのスペシウム光線のパフォーマンスはできなかったという登里。だからこそ、今後も求めるのは勝利と自身の３点目だ。

　試合後には満面の笑みで写真に収まったチームを牽引するふたりの活躍は、今後も川崎に欠かせないはずである。

取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）
　
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