未熟さを露呈。中途半端な日本が覚悟を決めたイスラエルに屈したのは当然【U-20W杯】

2023年05月28日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

グループステージ突破は奇跡を信じるしか…

イスラエルに逆転負けを喫した日本。途中出場の松田(2番)も見せ場をほとんど作れなかった。写真:Getty Images

 2023年5月27日(現地時間)、U-20ワールドカップを戦う日本代表がグループステージ第3戦でイスラエル代表と対戦。引き分けでも決勝トーナメント進出が決まる一戦で、しかし彼らは1−2と痛恨の逆転負けを喫した。

 立ち上がりから積極的に仕掛け、いくつかチャンスを作り出すなど悪い入りではなかった。こうして試合の流れを掴んだ日本は、前半終了間際にセットプレーから坂本のゴールで先制。理想的とは言わないまでも、良い形で最初の45分間を終えた。

 後半の頭はシステムを少し変えながらイスラエルの攻撃に対抗。68分には相手がひとり退場したことで数的優位を得たが、75分にセットプレーからゴールを許して追いつかれると、後半アディショナルタイムの失点で逆転された。同グループのもう1試合、セネガル対コロンビア戦が引き分けだったおかげで3位に滑り込んだものの、日本が未熟さを露呈したゲームだった。

 着目したいのは1−1に追いつかれた後のゲームマネジメント。突き放すのか、守り切るのか、その点が曖昧だった。2戦目までの疲労もあったせいか、終盤はボールウォッチャーになる選手も多く、守備そのものが軽い印象だった。ただ、攻撃面を見ても左サイドバックの高橋を下げた81分以降はボールの収まりどころがなく、10人のイスラエルを相手にチャンスらしいチャンスも作れなかっただけに、単純に力不足という見方もできる。  
 同点になった時点で5バックに切り替えなかった采配から判断するかぎり、冨樫監督は守り切る選択をしなかったと推察できる。じゃあ、明確に点を取りに行く意思が感じられたかと言えば、そういう戦い方でもなかった。中途半端な日本が覚悟を決めたイスラエルに屈したのは終盤の流れからして当然とも言えた。
 
 サッカーとはつくづく奥が深いスポーツだと思う。75分のセットプレーを境に試合の流れがガラリと変わり、ひとり少ないイスラエルがそこから日本を押し込む展開になるのだから。「自分のマネジメントに悔いは残ります」との発言からは、冨樫監督の力不足も感じ取れた。

 結果的に3位だった日本は、他グループの結果次第で決勝トーナメント進出かグループステージ敗退が決まる(3位の中で成績上位の4か国がベスト16入り)。ただ、日本はグループステージの3試合を終えた同じ3位のニュージーランド(A組)とナイジェリア(D組)にいずれも勝点で、スロバキア(B組)には同勝点ながらも得失点差で劣っており、かなり苦しい状況にあるのだ。

 残り2グループの3位は2試合消化時点で、E組はチュニジアで勝点3(得失点差プラス2)、F組はホンジュラスで勝点1(得失点差マイナス1)となっている。それを踏まえてグループ3位の6か国を順位付けすると、1位がナイジェリア(勝点6)、2位がニュージーランド(勝点4)、3位がチュニジア(勝点3。得失点差プラス2)、4位がスロバキア(勝点3。得失点差プラス1)、5位が日本(勝点3。得失点差マイナス1)、6位がホンジュラス(勝点1。得失点差マイナス1)となる。  

 奇跡を、信じるしかない。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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