【川崎】ふたつの意味のあった浦和戦。巡ってきた先発のチャンス、そして夢の舞台に佐々木旭は何を思ったのか

2023年05月25日 本田健介(サッカーダイジェスト)

同期の松井蓮之とのエピソードも

浦和戦は左SBで先発。攻守に奮闘した。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァン杯・第5節]浦和2-1川崎/5月24日/埼玉スタジアム2002

 川崎にとって1勝2分1敗で迎えたルヴァンカップのグループステージ第5戦の浦和戦。決勝トーナメント進出へ、敵地でのゲームで必勝を期したが、立ち上がり3分に奪った瀬川祐輔のゴールを生かせず、51分にホセ・カンテに決められた強烈な一発と89分のオウンゴールで痛い敗戦を喫した。

 ただし、最下位に転落したものの、清水、湘南も同組のグループBは大混戦で、最終節の結果次第で、まだ突破の可能性は残されている。

 そんな浦和戦が感慨深いゲームとなったのが、左SBで先発した佐々木旭だ。

 大卒2年目のDFは鬼木達監督からの期待の表われだろう。今季はより高いハードルを設定されている印象で、それだけにピッチに立てない試合が続いていた。

 もっとも本人も「オニさんは厳しい面もありますが」と苦笑いしながら、「でも期待してもらえているのは感じますし、今こそ自分が変われるチャンス。ここで変わりたいんです」と常に前向きに練習に取り組んできた。

 そして迎えた浦和戦である。期する想いはあっただろう。前半は浦和の実力派アタッカー、ダヴィド・モーベルグとマッチアップし、彼の得意なカットインを封じながら「縦で勝負」を意識。指揮官から求められる球際でも身体を張り、タイミングを見て前へ。

 後半途中からは大久保智明らとも対峙しながら、勝負を決める1点を追い求めた。

 それでも勝利に結びつかなかったこと、そして自身のパフォーマンスに反省の言葉が続く。

「勝てなかったことが悔しいです。久しぶりにスタートから試合ができたのは良かったですが、全然ですね。もっと前半からどんどん仕掛ければ良かったのかなと。決定機を作れなかったので、まだまだです。

 勝ってないので手応えはまったく感じられないと言いますか……勝って感じられるのが一番だと思うので、そこは練習から続けて、次に試合に出た時に勝って成長を感じられるようにしたいです」

 モーベルグらの相手をしながら攻撃参加にも出る。なかなか難易度の高いミッションにも映るが、目標設定は高い。

「そういった攻守の動きをオニさんは求めていると思うので、そこできついとは言っていられないですし、前にもっと出ていけるような体力ももちろんそうですし、メンタル的なところも鍛えていかなといけないと思います。そこをクリアしないと試合に出られないと感じているので、改めてやっていきたいです」
 
 また、この試合は埼玉県出身の佐々木にとっては特別なゲームでもあった。埼玉スタジアムは子どもの頃から憧れていた夢の舞台であったのだ。

「小さい時から埼スタに観に来ていて、ずっと埼スタで試合をしたいという想いがありました。去年は出られなくて、やっと埼スタのピッチに立てたのは感慨深かったですね。嬉しかったです」

 そして言葉は続く。

「スタンドからずっと観ていましたし、それこそ"テレ玉"でも観ていたので。ここ(ミックスゾーン)もスタジアムツアーで来ていた場所で。だからこそ自分のゴールで勝ちたかったですし、次は勝てるように、また頑張ります」

 ちなみに、試合の前日には同期入団の松井蓮之の町田へのレンタル移籍が発表された。

「声をかけたことはないですね。いつでも会えるので。でも寮生でお別れの焼肉には行きました。2人組をいつもやっていたのでそこは寂しいですが、蓮之に負けないように僕も頑張ろうと思います」

 そして想いを新たにする。

「試合に出られない時期も続いていますが、僕はここでしっかりスタメンを掴むまでやり続け、必要ないと言われるまで居続けてやってやろうと決めています。しっかり頑張って早くチームの中心になれるようにやりたいです」

 この雌伏の時を経て、佐々木がどう進化するのか。浦和戦もその一助になるはずだ。彼の成長した姿を今は楽しみにしたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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