2023年５月21日（現地時間）、アルゼンチンで開催中のU-20ワールドカップでグループステージ初戦を戦った日本がセネガルを１−０で下した。相手のフィジカルに苦しみながらも、15分に決めた松木玖生のゴールを守り切って完封勝利を収めたのだ。
【動画】松木のゴラッソが決勝点！ 日本対セネガル戦ハイライト
　試合を振り返れば、日本の出来は決して磐石だったわけではない。セネガルのシュートミスやパスミスに助けられたシーンも複数あり、押し込まれた時間帯も結構あった。最後はよく耐え凌いだと、そんな表現がピタリと当てはまるパフォーマンスだった。

　異国の地での公式戦、大会初戦のプレッシャーなど様々な要因が絡み合う状況下にもかかわらず、さすがの存在感を見せつけたのがキャプテンの松木である。立ち上がりから相手に激しくチャージされても心を折られず、チームに勢いをもたらす先制弾を左足で叩き込むと、後半は優れた危機察知力で危険なスペースを埋めてピンチの芽を摘んだのだ。同世代の選手には負けられない、そんなプライドを感じさせるプレーぶりと言えただろう。

　ただ、そんな松木以上に目を見張ったのが４−２−３−１システムのCBに抜擢されたチェイス・アンリ。フィジカル勝負で相手と渡り合い、力強いスライディングタックルでボールを奪う。さらに自陣ゴール前に放り込まれたボールを何度も弾き返すなどして、眩い輝きを放ったのだ。
 

　正直、U-20アジアカップに招集されていなかったので、チームメイトとの連係に不安があるだろうと予想していた。しかし、良い意味で裏切られた。この日のチェイス・アンリは最終ラインの大黒柱と断言できるほどの存在で、心身ともに充実しているように見えた。

　彼の身を挺した守りが仲間に勇気を与え、完封勝利に繋がった。ドイツでの苦しい時期を乗り換え、ひと回り成長を遂げたパフォーマンスでファン・サポーターの心を打つ。チェイス・アンリのプレーにはそんな感動が詰まっていた。

　中盤でのボール扱いが光った福井、複数のポジションをこなした佐野の頑張りも評価に値したが、セネガル戦はなんといってもチェイス・アンリ。アフリカ王者の上を行く威圧感を示したCBの奮闘なしに、アフリカ王者セネガルを無失点に抑えられなかったはずだ。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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