【鹿島】佐野海舟の戦列復帰で充実の陣容。岩政監督は「スタメンの選手でも、下手をすればすぐにベンチ外になってしまう」と嬉しい悲鳴

2023年05月15日 渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)

中盤の最適解を見つけられるか

離脱期間は「脳を鍛えていた」と語る佐野。復帰戦で能力の高さを見せつけた。(C)SOCCER DIGEST

[J1第13節]鹿島2-0名古屋/5月14日(日)/国立競技場

 鹿島アントラーズは5月14日、国立競技場で名古屋グランパスと対戦。鈴木優磨と知念慶の得点で2-0の勝利を収めた。

 上位の名古屋を下した結果とともに、収穫のひとつは、57分から登場した佐野海舟のプレーぶりだ。4月9日の柏レイソル戦後に左膝の負傷で離脱し、名古屋戦が約1か月ぶりの出場となった。

 22歳MFは、ピッチに投入されると直後からパスカットを連発。さらに奪ったボールをサイドに展開し、攻撃の起点にもなっていた。

 試合後に佐野は、5万6020人が詰めかけた国立での一戦は「今までで一番凄い試合でしたが、緊張もしなかったので、そこは良かったかな」と淡々と振り返る。

 久々の実戦復帰となったが、「コンディションは上がってないですけど、その分しっかりと頭を働かせて、どうやって上手く(ゲームに)入ろうかと考えていました。試合には上手く入れて、そこから追加点も奪えて勝てたので良かったです」と語った。
 
 今季に町田から加入した佐野は、開幕前までは左SBなど様々なポジションでも試されたが、開幕以降は4-3-3のアンカーや、4-4-2のダブルボランチの一角として、チーム内で守備的MFの一番手として地位を固めつつあった。

 しかし、連敗を喫するなどチーム状況が芳しくないなかで、負傷離脱。直後の8節、ヴィッセル神戸戦では1-5の大敗を喫している。

 佐野の離脱と歴史的大敗もあり、岩政大樹監督は修正を施した。9節のアルビレックス新潟戦では昨季も度々起用していた樋口雄太とディエゴ・ピトゥカのダブルボランチを採用。一方で両翼に名古新太郎と仲間隼斗のハードワーカーを配置し、2トップは鈴木の相棒に垣田裕暉をチョイスした。

「優磨と垣田の追い込み方。それを見たサイドの選手の追い込み方。説明すると微妙なニュアンスですが、彼らが上手くやってくれていて、効果はすごく大きい」と指揮官も太鼓判を押す。

 この変更以降、リーグ戦で5連勝だ。それだけに、佐野の復帰がひとつの注目となっていた。実際、名古屋戦で投入された場面ではスタジアムから大きな歓声も上がっていたほどだ。

 そして佐野は想定以上のプレーで応えた。試合後に岩政監督も「佐野海舟も帰ってきて、1発目でこのパフォーマンス」と称賛。名古屋戦では、「ベンチメンバーはウチがかなり有利にあると選手たちにも伝えていました」と現在の陣容の手応えを語り、こんな悩みも打ち明けている。

「最近、常に言っていることですが、練習から高い競争力が保たれている。パフォーマンスを落としてしまえば、ベンチを外れてしまう。スタメンの選手でも、下手をすればすぐにベンチ外になってしまう可能性も感じています」

 佐野の適正はアンカーやボランチだろう。一方、4-4-2でメンバーもほぼ固定されている連勝中のチームを大きく変更するのは得策ではない。

 守備力と展開力に長けた佐野をボランチの一角で使いたいが、プレースキッカーとしてチーム1の樋口と、サッカーセンスとファイティングスピリットを持つピトゥカは外し難い。

 名古屋戦の後半、樋口をサイドで起用し、ピトゥカと佐野がやや縦関係に立つ4-4-2が現実的ではあるが、名古と仲間の献身性があっての現在の好調とも言えるだけに……。

 次節のFC東京戦ではどんな組み合わせを送り出すのか。岩政監督の悩みは尽きそうにない。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)

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