浦和L、昨季女王のI神戸を2-1撃破でタイトルに大きく前進。健在だった勝者のメンタリティ【WEリーグ】

2023年05月15日 西森彰

浦和Lは前線をI神戸の最終ラインと同数に

I神戸に2-1で勝利した浦和L。敵地で貴重な勝点3を積み上げた。写真:西森彰

[WEリーグ第18節]I神戸1-2浦和L/5月14日/ノエビアスタジアム神戸

 5月14日、WEリーグ連覇を狙うINAC神戸レオネッサは、ホームのノエビアスタジアム神戸で、首位を走る三菱重工浦和レッズレディースを迎え撃った。

 ゴールデンウイークの3連戦で、リーグで2位につけるI神戸はアウェーのアルビレックス新潟レディース戦で今季初黒星を喫し、浦和Lは3連戦最後の日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦でドロー、連勝が9で止まった。それぞれ勝点を落としたわけだが、その差は3から4と開き、浦和にわずかな余裕が残って、この日を迎えた。

 この両チームは、今季、ここまで2回対戦している。リーグ戦では12月11日に行なわれた浦和Lのホームゲームで、試合終了間際に髙瀬愛実のゴールでI神戸が勝ち越し、2-1で制した。

 そこから約1か月後の皇后杯全日本女子サッカー選手権の準々決勝でも、守屋都弥から成宮唯というラインで2点を奪ったI神戸が、浦和Lの追撃を安藤梢の1点に抑えて、2-1で勝っている。

 逆転優勝を目ざすI神戸にとってはもちろん、今季2連敗中の浦和Lにとっても負けられないゲームだ。
 
 入場時には、大一番を楽しもうという想いからか、両チームの選手からは、笑顔も見られた。しかし、キックオフからボールホルダーへプレッシャーをかけあう、激しい展開が続き、表情も険しさを増していく。

 開始10分、腕を取られるなど厳しいマークにあっていた猶本光が、審判に激しくアピールすると、その直後には石川璃音との競り合いでファールを取られた田中美南も、ボールを蹴り出して不満を表わす。この一戦にかかっているもの、かけている想いの大きさが、序盤から垣間見えた。

 緊迫した展開のなか、徐々に浦和Lが主導権を握り始める。皇后杯決勝のベレーザ戦と同様に、浦和Lは前線をI神戸の最終ラインと同数にした。トップの菅澤優衣香が三宅史織と中央で対峙し、右の清家貴子が竹重杏歌理、左の島田芽依が土光真代の動きに目を光らす。

 浦和Lの楠瀬直木監督は「相手の3バックと両ワイドが出てくると厄介。そこを突いていこうとした。清家が突いてくれた。島田のほうは、なかなか突くことはできなかったが、タイトなディフェンスをしてくれた」と振り返る。

 ベレーザ戦に続いて、相手から自由を奪ったハイプレスに、指揮官は「後ろも安藤と石川が良い守りをしてくれるのですが、全体で前から行かないと耐え切れない。コンパクトにできている、連動できているという印象はあります」と評価した。

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