【クラブW杯】快挙達成のスアレスが大胆不敵な笑み。「リーベルは手強い。タイトルのために全力を尽くす」と誓う

2015年12月17日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

電光掲示板に3つ並んだ「SUAREZ」の文字。「決勝でも、今日と同じような良いプレーをしたい」。

ハットトリックを達成したハンターが狙う次のターゲットは、20日の決勝・リーベル戦でのゴールだ。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 今年一番の寒気が押し寄せた横浜の夜、6万人を超す観衆を熱くさせる圧巻のパフォーマンスを披露したのがスアレスだった。電光掲示板に3つ並んだ「SUAREZ」の文字。クラブワールドカップ史上初のハットトリックを達成したのだ。
 
「時差ボケなどの影響もあり、私たちのコンディションは決して良くなかった」とルイス・エンリケ監督が振り返ったように、立ち上がりのバルセロナはエンジンのかかりが決して良くはなかった。そのなかで、4-3-3の頂点に立つCFのスアレスも広州恒大のCBふたりがかりのマークに合い、なかなか前を向いてプレーできなかった。
 
 だが徐々にイニエスタを起点にパスが回り出すと、スアレスがゴール付近でプレーする機会が増える。するとスタンド全体に、ゴールが決まりそうな雰囲気が漂い出す。紛れもなく、スアレスがゴールハンターとしての"嗅覚"を発し出していたからだ。
 
 迎えた39分、ラキティッチの強烈なミドルをGKリ・シュアイが弾いたところ、誰よりも先に反応したのが背番号9――スアレスだった。それまで苦しめられた広州恒大の壁は、いとも簡単に攻略された、まさにエースのプレー。ゴールハンターの冷静なひと振りが相手に与えたダメージは相当だった。
 
 後半はバルセロナが一方的にボールを支配し、ほとんどの時間、相手陣内で試合を進める。そして50分、イニエスタのロブパスをゴール前にスッと入り込んだスアレスが胸で受けると、手を伸ばしたGKを嘲笑うかのように右足で合わせてねじ込む。今度は高度な技術を見せ付けて2点目を奪った。
 
 トドメは67分、広州恒大のファン・ボウェンがファールで与えたPKだ。豪快に蹴り込んで、ついに大会の歴史に名前を刻む、ハットトリックの偉業を達成したのだ。
 
 試合後、スアレスは笑顔を絶やさず語った。
 
「なにより、決勝に進むことができて嬉しいよ。日曜日(12月20日)は、今日と同じような良いプレーをしたい。今度の相手はリーベルだ。コパ・リベルタドーレスを獲った南米王者であり、とても強いチーム。難しい相手なのは間違いない」
 
 そして自らの気を引き締めるように言った。
 
「バルセロナがタイトルを獲るために来た。全力を尽くしたい」
 
 メッシとネイマールという2枚看板が不在のなか、「MSN」の「S」ひとりで試合を決めた。ウルグアイ代表FWは12月20日、今度は"世界一"の笑顔を浮かべる。

【PHOTOハイライト】バルセロナ 3-0 広州恒大

取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
 
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