なぜ新潟は攻撃的姿勢を取り戻し、連敗ストップできたのか? 堀米悠斗が現状を見つめ直すきっかけとなったサポーターへの“誓い”

2023年05月08日 野本桂子

「やるから。次を見ていてくれ」

柏戦では自らも果敢にシュートを狙った新潟のキャプテン堀米。写真:鈴木颯太朗

[J1リーグ第12節] 新潟0-0柏/5月7日/デンカビッグスワンスタジアム

 新潟はJ1第12節で、ホームのデンカビッグスワンスタジアムを舞台に柏と対戦。0-0で引き分け、第9節の鹿島戦(0-2)から続いていた連敗を3でストップ。シュート13本を放って攻撃的な姿勢を取り戻し、5試合ぶりに無失点に抑えた。

 主将の堀米悠斗は「連敗中ということもあって、この試合にかける思いはみんなすごく強かった。内容的にも勝点3を取らなければいけない試合だったので、連敗を止めたことよりも、勝ちきれなかった悔しさが大きい」とコメント。その表情に安堵はなかった。

 堀米は前節の試合後、サポーターに勝利を誓っていた。

 3日に行なわれた第11節の横浜FC戦は、中3日で続く3連戦の2戦目。新潟は前々節のFC東京戦(1-2)から、フィールドプレーヤー10名を入れ替え、リフレッシュして臨んだ。

 しかし攻撃の迫力が出せず、シュートは5本と消極的な内容に。守備も寄せきれずクロスからあっさり失点すると、試合終盤には相手のタックルをきっかけとした乱闘騒ぎが起き、0-1で敗戦。後味の悪すぎる幕切れだった。
 
 アウェーでは2連敗。選手たちがゴール裏へ挨拶に行くと、ニッパツ三ツ沢球技場に駆けつけた約800人の新潟サポーター席からは、ブーイングが注がれた。この日は控えメンバーとして帯同した堀米はゴール裏に歩み寄り、コールリーダーと直接対話。「やるから。次を見ていてくれ」と呼びかけた。

「どれだけの労力をかけてあの場に来ているかを想像すると、辛かった。ただ黙ってブーイングを受け止める選択肢もあったが、少しでも思いが伝わるよう話しに行った。サポーターの力を含めて、自分たちは今の立ち位置にいる。また一緒に、気持ちよく戦ってもらえるように、プレーで示したい」

 戦う気持ちが見えないという声を受け止め、何をすべきかを見つめた。

 相手からの分析が進み、新潟対策もされるようになってきたなかでの3連敗。ビルドアップにプレッシャーをかけられ、起点となる伊藤涼太郎には徹底マーク。中盤にブロックを構えてカウンターから点を奪われ、さらにコンパクトに固められた守りでコンビネーションを出させてもらえない――J2でもそうした経験はあった。

「リスクを負わないのがリスクだったなと。こういう壁は何回か経験しているので、何が大事か思い出してトレーニングできた」(堀米)

 カウンターからの失点が続いているから、思い切り攻撃しづらい気持ちも出てくる。それも踏まえて堀米は「勇気を持って仕掛けるプレーが必要。自分もそういうプレーでチームを勇気づけたいし、誰かがトライしたときに認めてあげるポジティブな空気作りが必要。それが自分の役割」と自覚し、柏戦に臨んだ。
 

次ページトライした選手にはポジティブな声かけ

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事