【クラブW杯】「12番目の選手」に相応しいリーベル・サポーター

2015年12月16日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

広島の佐藤曰く、 「完全にアウェーでした」。

熱狂的なリーベルのサポーターたちは、マゼンベ対クラブ・アメリカ戦から、すでにスタンドに陣取っていた。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 12月16日11時ごろ、品川駅の東海道新幹線ホーム。新大阪まで、まだ2時半の旅路が残っているのに、すでに"彼ら"は歌っていた。

 新大阪から地下鉄・御堂筋線に乗ると、所々に「赤と白」を纏った集団がいる。長居駅に着くとさらにその数は増え、スタジアム周辺の道端、飲食店、コンビニを複数の一団が占拠していた。

 熱狂的かつ献身的なことで知られるリーベルのサポーター。今回のクラブワールドカップのために来日した数は、なんと約2万人とも言われている。準決勝前夜には道頓堀の中心街に約5000人が集結して大声でチャントを歌うなど、バンデラッソ(決起集会のようなもの)を開いて大きなニュースとなっていた。

 当日は16時半キックオフのマゼンベ対クラブ・アメリカ戦からスタンドに陣取ってリーベルの横断幕を張り、試合に関係なくチャントを響かせていた。

 19時半キックオフの広島対リーベル戦が近付くにつれて、もちろんさらにヒートアップ。入場時には白と赤の風船を手に、立ち上がって応援歌を響かせていた。スタジアム全体のサポーターの数は、リーベル・ファンが8.5割、広島ファンが1.5割くらいに見えた。

 試合中に印象的だったのは、声援が大きくなるタイミングだ。21分、柏がハンド気味にボールに触れた際は雨霰のブーイングを浴びせたのは、特段珍しいシーンではなかった。しかし、例えば30分過ぎ以降、または60分過ぎなど、リーベルが少しでも劣勢になると必ずと言っていいほど応援に熱が入り、声量が明らかに増していた。

 俺たちの応援でリーベルに流れを引き戻す、そして勝たせるんだ――。そんな気概を感じた。

 試合後、広島の佐藤はリーベル・サポーターをこう評している。

「完全にアウェーでした。ピッチに入った瞬間から感じました。リーベルのファンの人たちは、海を渡ってここまで来ている。この言葉で片付けちゃいけないですけど、"文化が違う"。Jリーグでは経験できない応援でした。単純な人数ではなく、応援の仕方、圧力の掛けた方がまったく違う。これが本場なんですね。もちろん、平日夜にもかかわらず、大阪まで駆けつけてくれた広島のサポーターにもとても感謝しています。ありがたいです」

 海を渡って地球の裏側まで足を運び、力の限り、そしてタイミングを心得た声援を送り、チームを勇気づけるリーベル・サポーター。まさに「12番目の選手」と呼ぶに相応しい彼らの姿を、12月20日の決勝戦でも楽しみにしたい。

【PHOTOハイライト】広島 0-1 リーベル

取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
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