【FC東京】28歳という年齢だけではない、太田がフィテッセ移籍を決断した“ある理由”。「今季はもどかしいというか…」

2015年12月17日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

FC東京への愛ももちろん忘れていなかったが…。

今季はJ1最多の13アシスト。しかし、勝ってもどこか消化できない試合があったという。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 2015シーズンの開幕当初は海外移籍など興味がなかった。

「FC東京をリーグ優勝させる。それしか考えていない」

 4月、川崎との多摩川クラシコを前に話を訊いた時、太田ははっきりとそう言った。自分から海外のクラブに売り込む気もさらさらなかった。

 しかし、FC東京や日本代表で試合を重ねるうちに心にちょっとした変化が生まれた。勇気を持ってヨーロッパへと渡り、頑張っている"かつてのチームメイトふたり"の姿を見て、羨ましいと思うようになったのだ。

「武藤選手(現マインツ)やアーリア選手(長谷川アーリアジャスール/現サラゴサ)と連絡を取って、話をするなかで気持ちに変化が出てきました」

 そうしたなかで届いたフィテッセからのオファーは、素直に「嬉しかった」(太田)。将来性も見込まれて引き抜かれる若手と違い、28歳の太田は即戦力と考えられていた(契約は今冬から4年半)。そして本人も、FC東京に違約金を支払ってまで獲得に乗り出したフィテッセの"愛情"をひしひしと感じていた。

「だいぶ自分のことを追ってくれていて、『今のフィテッセにはお前のこういうところが合う』というプレゼンもしてくれました。純粋に嬉しかったです」

 だが一方で、太田はFC東京への愛も忘れていなかった。

「確かに武藤選手やアーリア選手のことは羨ましかったし、フィテッセに行きたいという気持ちは、正直ある。強いです。ただ、ここまで僕を育ててくれたFC東京の関係者、ファン・サポーターのことを考えると、『じゃあ、行きます』とは簡単に言えません」

 移籍か残留か──。その狭間で揺れながら、悩み抜いた末に出した答は、欧州挑戦だった。

「愛する東京を離れることは苦渋の決断でしたが、年齢的にも最後のチャンスと捉え、チャレンジを決めました」

 しかし、太田を移籍へと突き動かしたのは、なにも武藤や長谷川アーリアジャスールの頑張りや自身の年齢だけではなかった。

 

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