「川崎とちゃんと試合ができていない」。渡邊凌磨は国立での多摩川クラシコで本領発揮なるか【FC東京】

2023年05月07日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「僕の感覚では、正直、侮っていた」

5月12日の多摩川クラシコに向けて意気込みを語ってくれた渡邊。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

「どんな状態でも勝点を奪うイメージ。厳しい状況下でも勝点を拾えるのは強いチームの証で、何が自分たちの強みかを選手全員が理解していると思います」

 川崎フロンターレの印象を訊くと、渡邊凌磨はそう答えた。ただ、そんな川崎に「個人的には苦手意識がない」という。「FC東京は2018年5月5日のアウェーゲームを最後にリーグ戦で9試合続けて川崎に勝てていませんが」と話を振っても、動じる気配はない。

 今季最初の多摩川クラシコは、5月12日にJリーグ30周年記念スペシャルマッチとして国立競技場で開催される(キックオフは19時30分)。国立での多摩川クラシコは今回で3回目。2009年シーズンのリーグカップ決勝でFC東京が川崎を破って以来の対戦となる。その一戦に向けて、渡邊は"相性の良さ"を口にする。

「昨季はリーグ戦で2試合、国立で勝っています(4月29日にガンバ大阪を、9月18日には京都サンガF.C.をいずれも2−0で撃破)。相性の良いスタジアムで戦えるのはポジティブに捉えたいし、勝ちにこだわってプレーすれば勝てるはずです」
 
 その一戦を、おそらく渡邊は心待ちにしている。「川崎とちゃんと試合ができていない」のがそう確信させる材料だ。昨季、彼は等々力陸上競技場での開幕戦で本職ではない右サイドバックを担当。味の素スタジアムでの最終節はGKチョン・ソンリョンの退場で前半途中から相手が10人になってしまった。だから、「真っ向勝負した記憶がない」との心境になるのだ。

「その2試合で自分の持ち味を出せたとは言い難いです。なので、今度こそ自分がどこまでできるかを確認したい。もちろんやれる自信はあるし、勝ちにつながるプレーでチームに貢献できると信じています」

 油断はない。昨季の最終節での経験が慢心を取り除くファクターとなっている。

「相手が10人になって気が緩んだというか、(47分に1−1と)追いついたあと、油断はあったのかなと。僕の感覚では、正直、侮っていた。さすがに10人だったらという気持ちはありましたね。それでも勝つ川崎の強さは、あの試合で身に染みました」

 今季の川崎はここまで例年ほどの強さを見せていないが、渡邊は「といっても川崎なので」と気持ちを引き締める。今季序盤戦でFC東京の攻撃を牽引していたひとりが、間違いなくこのアタッカーだ。例年以上に充実している印象の渡邊が、多摩川クラシコでどんなパフォーマンスを披露してくれるのか。楽しみでならない。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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