山下良美主審が名古屋マテウスに出したイエローは妥当? 家本元国際審判員が見解「おかしいものではない。ただし…」

2023年05月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

「もう少し違う絵が描けたし、手段があった」

横浜対名古屋では初めて3人の女性審判員が主審と副審を務めた。(C)SOCCER DIGEST

 DAZNの『Jリーグ ジャッジリプレイ』が最新回を配信。4月29日に行なわれたJ1第10節の横浜F・マリノス対名古屋グランパス(1-1)で、名古屋のマテウス・カストロにイエローカードが提示されたシーンが取り上げられた。

 12分、横浜の松原健が名古屋の森下龍矢を倒して、ファウルの判定を受ける。山下良美主審が松原とのコミュニケーションを図る合間に、マテウスがFKでロングボールを放り込んだ。これに対して、山下主審はマテウスにイエローカードを出した。

 マテウスへのジャッジに対して、ゲスト出演した元日本代表FWの永井雄一郎氏は、「あからさまにボールの位置も違うし。ゴールに向かって蹴っているので、クイックプレーだと思われるだろうけど、実際には、異議として取られても仕方がない」と主張。ただ、イエローカードは厳しく、注意で済ませても良かったという。

 元日本代表DFの坪井慶介氏も、永井氏と似たような意見だとして「そもそも、何でマテウス蹴っちゃったのかな」と首をかしげ、イエローカードまでは行かないという見解を示す。

 そして、元国際審判員の家本政明氏に「イエローカードの使い方として、主審の山下さんが『このプレーを今後したら出しますよ』と基準として示す使い方は、ありなのか」と質問した。
 
 これに対して、家本氏は"コントロール"なのか、"マネジメント"なのかと二分し、"コントロール"は「全体のなかの部分だけにフォーカスしている」、"マネジメント"は「全体を良くするとか、ある目的の方向に行く」として、"見せしめ"的なイエローカードは競技規則にはないと説明する。

 また、プレーを近くで見ていた山下主審と、逆サイドで視野が広い位置にいたマテウスでは、「感じ方がたぶん、全然違う。なので、マテウス選手は『すごく大きなチャンスで、これからなのに』という思いが強かった。山下さんは、もう少し狭くなっていたので、感じ方が狭まっているという大きな差がある」と推測した。

 そのうえで、"コントロール"の観点でマテウスの行為は、警告に値する「プレーの再開を遅らせる」「言葉または行動により意義を示す」「反スポーツ的行為を行なう」の3つのどれかに該当する可能性があると解説する。

「コントロールという意味で言うと、おかしいものではないと思う。ただし、フットボールの魅力をより高めるとか、多くの人を安心や納得させて導くマネジメントの観点では、もう少し違う絵が描けたとか、手段はあった」と語った。

 一方、国際大会への参加を控えている山下主審の状況を推察。日本は世界に比べて審判の権威が低いとして、「部分だけで見て、レフェリーの判断が『ああだ、こうだ』という見方を、もう少し俯瞰して『世界の基準はどうなっているんだろう』『FIFAはどう考えている』というところまで」という視点も必要だと付け加えた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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