「FC東京のサッカーで最も重要な選手」と指揮官が絶賛。頭脳派にも映る渡邊凌磨なら森保ジャパンに新たなスパイスを…

2023年04月29日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

サッカーの本質を理解しているアタッカー

新潟戦でフルスロットルの活躍を見せた渡邊。このところの充実ぶりには目を見張る。写真:滝川敏之

 前節の広島戦に続き、ホームの新潟戦でも勝利。リーグ戦での今季初の連勝を振り返るうえで、スーパーショットで決勝点を叩き込んだディエゴ・オリヴェイラの活躍は必須だが、このアタッカー以上に存在感を見せつけたのが渡邊凌磨だろう。少なくとも個人的な見解ではそうなる。

 実際、渡邊は8分に絶妙なコース取りのドリブルと的確なパスで仲川輝人の先制点をお膳立てすれば、34分には安部柊斗への鋭い縦パスで局面を一気に打開して結果的にD・オリヴェイラの決勝ゴールを生み出している。

 左ウイングで先発出場も、そのポジションに捉われず、比較的自由にピッチを走り回って敵を撹乱。中盤まで降りてきて司令塔的な役割もこなすなど、局面に応じて柔軟にプレーしていた。

 「FC東京のサッカーで最も重要な選手」(アルベル監督)という渡邊は、確かにポジショナルプレーの申し子とも評され、昨季からポゼッションにこだわるFC東京で不可欠な戦力だ。学生時代からサッカー分析の習慣があり、自身のプレーを客観視できる冷静さも持ち合わせた頭脳派で、だからこそサッカーの本質(ゴールを奪う、守るスポーツ)も当然ながら理解している。
 
 こうしたプレーヤーが森保ジャパンにいたらどうなるか。戦術的にフワッとしている現日本代表に新たなスパイスを与えられるのではないかと、期待してしまう。8節のセレッソ大阪戦では胸トラップして浮かしたボールをそのままボレーで蹴り込む"理不尽なゴール"をマークするなど、型にハマらないプレーも得意な渡邊を、是非日本代表で見てみたい。

 森保一監督が3月の連戦で採用した4−2−3—1システムなら、渡邊は左右のウイングに加え、トップ下も任せられる。昨季のFC東京で右サイドバックを担当した経験もあり、ユーティリティプレーヤーとして重宝されてもおかしくない。もちろん森保ジャパンでいきなり主力になれるとは考えてないし、招集の現実味があるかと言えば現時点でそこまで高くないだろう。

 ただ、ここからさらなる飛躍を遂げそうな予感はある。次節以降も新潟戦のようなパフォーマンスをコンスタントに続けられれば、渡邊が日本代表に招集される可能性は膨らむかもしれない。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

【PHOTO】FC東京の出場15選手&監督の採点・寸評。2得点に絡む活躍の渡邊を文句なしのMOM。安部はピッチの広範囲をカバー

 
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