【ビッグクラブの回顧録】“あの時”のバルサを振り返る Vol.20~2010-11シーズン ~

2015年12月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

勝負強さで二冠達成! ヒートアップした5つのクラシコ。

新装なった聖地ウェンブリーでの最初のCL決勝。絶対に勝ちたかったであろうマンチェスター・Uを圧倒し、バルサが歴史に名を刻んだ。 (C) Getty Images

 リーガ連覇、初の世界制覇、他にもいくつものタイトルを獲得したバルサだが、新シーズンに向け、リーガ3連覇、2シーズンぶりのチャンピオンズ・リーグ(CL)優勝といった高い目標を掲げ、そのための準備に余念がなかった。
 
 昨シーズン、欲しかった戦力をなかなか獲得できなかった反省を踏まえ、バルサは早いうちからターゲットとなる選手との交渉を開始。ダビド・ビジャーを皮切り、アドリアーノ、そして1年遅れでハビエル・マスチェラーノを手中に収めた。
 
 有能な選手揃いのバルサだが、決して層は厚くなく、加えてズラタン・イブラヒモビッチやドミトロ・チングリスキらチームにフィットしない選手を迷いなく放出したことで、リスクを背負った状態でのシーズン突入となった。
 
 序盤、バルサは苦しんだ。多くの各国代表選手は南アフリカ・ワールドカップ出場後のチーム合流が遅れ、またコンディションが上がるのに時間もかかった。リーガでは、2節のエルクレス戦で早くも初黒星を喫している。
 
 しかし、間もなくして全てが整うと、驚異の快進撃を開始。得点王リオネル・メッシはゴールを積み重ね、スペイン代表を世界一に押し上げたアンドレス・イニエスタ、シャビは中盤と前線で極上のプレーを披露、ビジャも中盤戦以降は期待通りの結果を残した。
 
 2011年に入るとパフォーマンスがやや低下し、さらにカルレス・プジョール、エリック・アビダル、ボージャン・クルキッチらが次々に怪我で戦列を離れるなどバルサは窮地に陥ったが、名将ペップの的確な采配と勝ち方を熟知する選手たちの粘りにより、これを乗り越えた。
 
 このシーズン、大きな注目を浴びたのが、ジョゼ・モウリーニョ率いる宿敵レアル・マドリーとの戦い。ピッチ上だけでなく、モウリーニョ、マドリー選手の"口撃"、さらにはマドリー寄りのメディアの偏向報道などもあり、いつになくクラシコはヒートアップした。
 
 まずリーガ5節ではバルサが衝撃的な5-0の圧勝を飾り、終盤戦のリーガ32節、国王杯決勝、CL準決勝のクラシコ4連戦(クアトロクラシコ)は、1勝2分け1敗という互角の結果となったが、バルサはこの戦いを終えてリーガ、CLの二冠に大きく近づいた。
 
 2年ぶりのCL決勝で顔を合わせたのは、前回と同じくマンチェスター・ユナイテッド。ウェンブリーでの戦いはアウェーマッチとも言えたが、バルサはその不利を全く感じさせず、ペドロ、メッシ、ビジャのゴールで勝利を飾り、4度目の欧州制覇を果たした。
 
 リーガも制し、目標の二冠を達成したバルサ。攻撃では「メッシ・システム」が機能し、守備では昨シーズンよりさらに総失点を減らすなど(38試合で24失点!)、勝負強さを発揮したチームは、その熟成ぶりを感じさせた。
 
 問題を抱えながらも、高いレベルの選手、スタッフが己のスタイルに自信を持ち、状況に応じて最適なプレーと戦術を選択した結果、多くの白星と優勝トロフィーがもたらされた。まさに貫禄による勝利だった。

【写真で回想】バルサ IN ジャパン 親善試合編(1990・2004・2005)
◎2010-11シーズン成績
リーガ:優勝(30勝6分け2敗・95得点21失点)
国王杯:決勝戦敗退(対レアル・マドリー)
チャンピオンズ・リーグ:優勝(対マンチェスター・ユナイテッド)
 
チーム内得点ランキング(リーガ):メッシ(31点)、ビジャ(18点)、ペドロ(13点)、イニエスタ(8点)、ボージャン(6点)、シャビ(3点)、ケイタ(3点)、ピケ(3点)、チアゴ(2点)、D・アウベス(2点)、アフェライ(1点)、ブスケッツ(1点)、ジェフレン(1点)、プジョール(1点)、バルトラ(1点)
 
◎主なトランスファー
◇IN

DF アドリアーノ(←セビージャ)
MF マスチェラーノ(←リバプール)
FW ビジャ(←バレンシア)

DF モントーヤ(←ユースから昇格)
FW アフェライ(←PSV)
◇OUT

DF マルケス(→ニューヨーク・レッドブルズ)
DF チグリンスキ(→シャフタール・ドネツク)
MF トゥーレ・ヤヤ(→マンチェスター・シティ)
FW イブラヒモビッチ(→ミラン)
FW アンリ(→ニューヨーク・レッドブルズ)
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