なぜ鬼木達監督でなく寺田周平コーチが指示?川崎が快勝した清水戦の舞台裏

2023年04月20日 本田健介(サッカーダイジェスト)

ようやく掴んだ今季ホーム初勝利

戦況を見守る寺田コーチ。清水戦では積極的に指示を出した。写真:滝川敏之

[ルヴァン杯・第4節] 川崎6-0清水/4月19日/等々力陸上競技場

 なかなか調子の上がらなかった川崎が、4月19日にホームで迎えたルヴァンカップのグループステージ4節の清水戦に6-0で快勝を収めた。相手が若手主体で臨んできた面はあったが、ようやく掴んだ等々力での今季初勝利だ。勢いに乗れるゲームと言えるのかもしれない。

 もっとも、サポーターも大いに沸いた一戦ではある違和感が。普段ならテクニカルエリアで声を張り上げる鬼木達監督がこの日はベンチでどっしりと構え、一方で指示を送っていたのが寺田周平コーチであったのだ。

 普段とは異なる光景にクエスチョンマークを浮かべた人も多かったのではないか。

 何か流れを変えるための作戦なのか。リーグ戦では黒星が先行していただけに、深読みしたくなる状況であったが、答えは至ってシンプルだった。

「こんな声だったので、自分が指示をして通らないので、自分の想いをすべてぶつけてもらいました」

 最近は黄砂の影響などがあったが、数日前からなぜか声が出にくくなったということで、この日も恒例の試合後会見では、ガラガラ声のまま質問に応じる指揮官の姿があった。
 
 試合後に声をかけると「原因は分からないんです」と笑顔を見せたが、コーチングスタッフ一丸となって制した清水戦は、またいつもと違う勝利の味にもなったのかもしれない。

「平日ナイターの試合に、1万5000人を超えるサポーターの方が足を運んでくれて、それに選手は気持ちと結果で応えてくれたかなと思います。

 試合に入る前に、このゲームをキッカケに、このチームを変えていきたいというか、変える日にしようという話をしました。相手がどうとか、日程がどうとか、そういうことではなくて、自分たちにフォーカスをして、しっかり戦おうと。

 ホームの勝利は特別なもの。勝つことで流れを持って来れますし、リーグだとかカップ戦だとか関係なく、ここ等々力でゴールすること、勝つことに意味があるんだと、選手には何回も話しました。この勝利を全員で次につなげたいです」

 そう熱く語った鬼木監督。次は万全の状態で、等々力で迎える週末のリーグ戦・浦和戦で連勝を掴めるか。大事なゲームは続いていく。

 ちなみに清水を率いた秋葉忠宏監督は市立船橋高校での1年後輩。試合に臨むにあたって「向こうが後輩なんですけど、大体向こうが先輩だと思われていて(笑)。でも楽しみです」と、よく食事にも行くという後輩との対戦を待ちどおしくしていた様子だが、この日は、声を張り上げていた秋葉監督とは対照的な姿となったのもどこか印象深かった。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【厳選ショット】大量6得点で待望の今季ホーム初勝利!|ルヴァンGS第4節 川崎6-0清水
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