【クラブW杯】再び広島に敗れたオークランド・シティの岩田卓也。しかし、“非エリート”の物語はまだまだ終わらない――

2015年12月11日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

リベンジを誓うも対峙した柏に何度も翻弄される。

岩田は守備に追われるシーンが多く、ほとんど攻撃に絡めず、さらにビルドアップ時のミスも目立った。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 12月10日のクラブワールドカップ開幕戦でサンフレッチェ広島に0-2で敗れたオークランド・シティ。このオセアニア王者の左SBを担ったチーム唯一の日本人、岩田卓也は文字通りの"叩き上げ"だ。
 
 岐阜工業高卒業後にJクラブから声が掛からず、浜松大学を経て2006年には当時JFLのFC岐阜に入団。しかし、トップチームには定着できず、心機一転、2010年に単身オーストラリアへ。現地の寿司屋でバイトしながらエッジ・ヒル・ユナイテッドをはじめ3チームを渡り歩き、練習生を経て12年10月にはニュージーランドの強豪オークランド・シティへ入団。身体を張ったディフェンスと果敢なオーバーラップなど攻守のパフォーマンスが評価され、瞬く間に主力に伸し上がった。
 
 クラブワールドカップはオークランド・シティ入団直後の2012年大会から出場し、今大会が実に4回目。日本人選手としては最多出場を誇る。
 
「サンフレッチェ広島にリベンジしたい」
 
 来日直後にはそう語るなど、同じく広島相手の開幕戦で敗れた2012年大会の雪辱を誓っていた。
 
 しかし、リベンジは果たせなかった。広島との一戦で左SBとして先発したが、開始直後のファーストタッチでパスミスすれば、さらに3分には柏にドリブルで抜かれて慌ててファウルを犯した。
 
 その後も、対峙した柏のテクニックとスピードに何度も翻弄され、いわば力の差を見せつけられた。試合後、岩田本人も素直にそれを認めている。
 
「(柏は)やりにくかったです。試合の途中途中で、『次はこうしよう』とか思いながらやっていたんですが、その上をいかれてしまって。結局は何度もやられた感が残りました」

次ページパーソナリティーを失わない限り再び…。

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