湘南19歳FW鈴木章斗、ついに覚醒か。横浜戦で値千金の同点弾、指揮官は「積み上げてきた結果」と称える

2023年04月16日 岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

「ゴールの瞬間は喜びもありましたが…」

横浜戦でチームに勝点1をもたらす同点ゴールを挙げた鈴木章。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第8節]湘南1-1横浜/4月15日/レモンガススタジアム平塚

 ひとつの才能のつぼみが開き始めている。

 J1第8節で昨季王者の横浜をホームに迎えた湘南。先制を許したチームを救ったのは、高卒2年目のアタッカー、鈴木章斗だった。

 81分、杉岡大暉のクロスは山田直輝が触ってコースが変わる。そのボールに鈴木章が素早く反応。ストライカーらしく、泥臭く飛び込んで奪った同点弾は、記念すべき自身のJ1初ゴールだった。
【動画】鈴木章斗が執念の同点弾!
 活躍の"伏線"はあった。3月8日に行なわれたルヴァンカップのグループステージ第1節・浦和戦で途中出場すると、積極的にミドルシュートを放つなど攻撃を勢いづけてアピール。そこからリーグ戦も含めてコンスタントに試合に絡み、4月5日のルヴァン杯・清水戦で今季の公式戦初スタメンを飾ると、華麗なループ弾を決めてみせた。

 しかし、トントン拍子では進まない。カップ戦の勢いそのままに臨んだ7節のFC東京戦で86分に投入されると、終盤にビッグチャンスが訪れる。2-2で迎えた90+6分、自陣でのコーナーキックのこぼれ球を鈴木章が奪うと、そのまま相手ゴール前まで持ち運ぶ。局面は5対3で優位に立っている状況。そこで19歳のFWが選んだ選択は、シュートだった。

 強烈なボールが枠内に飛んだが、惜しくも相手GKのヤクブ・スウォビィクに阻まれた。ゲームはそのままタイスコアで終了。試合後、山口智監督は鈴木章を叱咤し、その内容と理由を会見で明かした。

「同じような状況でシュートを打つという判断が3試合くらい続いていましたし、勝つための選択をできる選手になってほしいので『同じことを何度も繰り返すな』と伝えました。厳しい言い方ですが、状況は見えていたはずです。より確率が高いところを選べなかったのかというのは、学びとして覚えてほしいです」
 
 指揮官の檄には、鈴木章への期待と愛情が詰まっていた。その証拠に、今節の横浜戦も同じようにメンバー入りし、1点ビハインドの72分から出番が与えられた。そして、湘南の29番は起用に応えたのだ。

 メモリアルゴールを挙げた鈴木章だったが、満足はしていない。「ゴールの瞬間は喜びもありましたが、まだ1-1だったので、すぐに次の点を取るために切り替えました。逆転したいという気持ちでピッチに入りましたし、5位以上を目ざすうえで、引き分けでは満足できません」と、チームの結果に対する責任感を口にした。

 また、山口監督は鈴木章への信頼を強調する。

「章斗は自分を持っている選手です。先週、僕が彼に話をしたから何か変わったわけではなく、これまで彼が積み上げてきた結果が、今日のゴールにつながっています」

 指揮官が言うように、自分の軸を曲げずに積み上げてきたからこそ、結果につながり始めているのだろう。そして今日の結果に満足せず、すぐに次を見据える姿勢には、今後のさらなる飛躍の予感がある。

 2021年度の高校サッカー選手権大会で7ゴールを挙げて得点王に輝いた逸材が、プロの舞台で輝きを放ち始めている。持ち前の決定力に加えて「守備での貢献やアシストも意識してやっていきたい」と意気込む鈴木章。才能開花の時は、そう遠くないはずだ。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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