【韓国メディアの視点】J移籍が噂されるふたりの韓国代表GK。ファンは欧州挑戦を望んでいるが…

2015年12月09日 慎武宏

タレントの海外流出は、Kリーグ各クラブの緊縮財政が発端だ。

来年で31歳を迎えるチョン・ソンリョンは年俸が高額。現所属の水原三星には、彼を引き止めるだけの資金的余裕がないという。 (C)Getty Images

 川崎入りが噂されている水原三星のチョン・ソンリョンと、神戸移籍の可能性が浮上した蔚山現代のキム・スンギュ。チョン・ソンリョンは2度のワールドカップ出場と3回のアジアカップ出場、さらには2012年ロンドン五輪銅メダルにも輝くなど、長らく韓国代表の守護神として活躍してきたベテランだ。

 キム・スンギュは、そのチョン・ソンリョンからポジションを奪ってウリ・シュティーリケ監督率いる現在の韓国代表の正GKとして活躍。2014年仁川アジア大会では金メダルにも貢献した。

 ふたりとも、まさに韓国を代表するGKだけに、Jリーグ移籍説は韓国でも注目されている。海外移籍が簡単ではないGKという特殊性もさることがら、ふたりが現役韓国代表のGKであり、Kリーグで双璧をなす存在であることから、通信社『聯合ニュース』も、「太極戦士GKたちの"Jリーグ・ラッシュ"」と打電している。

 ただ、ふたりのJリーグ進出説の背景には、Kリーグ各クラブの厳しい財政事情も無関無関係ではないだろう。チョン・ソンリョンは今季終了後に契約満了となるが、水原三星は来季の予算縮小が確実で彼を引き留められるほどの資金がない。

 蔚山現代もキム・スンギュを引き留めたいが、彼はかねてから海外進出志向が強い彼を引き留められる年俸を提示できるか未知数。つまり、Kリーグ各クラブの緊縮財政が発端と言えるのだ。

 もっとも、ふたりの日本行きへの評価は対照的だ。一般紙『中央日報』サッカー班のソン・ジフン記者も言う。

「チョン・ソンリョンは年俸が高く、リストラを準備している水原三星だけではなく、ほかのKリーグ・クラブも彼を満足させられる条件を提示できそうもない。それだけに、チョン・ソンリョンのJ進出が合理的な決定だと思います。キム・スンギュもJリーグから好条件を提示されたら、蔚山現代に止まる理由がない。

 だが、キム・スンギュはまだ20代中盤と若く、成長中の代表正GKなだけに、移籍するなら日本ではなく、ヨーロッパに挑戦すべきというのが、韓国のサッカー関係者やファンの意見です」
 

次ページ「最近のトレンドは、日本より中国スーパーリーグへの進出」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事