【ビッグクラブの回顧録】“あの時”のバルサを振り返る Vol.15~2005-06シーズン ~

2015年12月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

リーガ連覇&14年ぶりの欧州制覇! 無敵のバルサが誕生した。

ただやみくもに攻めるだけでなく、試合巧者ぶりも見せて各国の強敵を倒していったバルサは、ついに2度目の欧州制覇を達成した。 (C) Getty Images

 前シーズン、スペクタクルなサッカーで6シーズンぶりのリーガ制覇を果たしたバルサ。クラブ一丸となって改革に取り組み、2年目にして成果は表われた。
 
 迎えた2005-06シーズン、目標はリーガ連覇、そして1991-92シーズン以来2度目のチャンピオンズ・リーグ(CL)優勝だ。
 
 戦いを前に、バルサが新たに補充した即戦力は、中盤のマルク・ファン・ボンメルとFWサンティアゴ・エスケーロの2人だけ。いかに昨シーズン来の現有戦力が充実しているかが、ここからも窺い知れた。
 
 前哨戦となるスーペルコパで難敵ベティスを一蹴したバルサは、全く死角の見当たらない優勝候補筆頭としてリーガに臨んだが、アラベスとの開幕戦は引き分け、3節のアトレティコ・マドリー戦で早くも黒星を喫するなど、序盤はややもたついた。
 
 しかし8節からは驚異の14連勝と、前評判通りの強さを発揮して首位を疾走。途中、中盤の大黒柱であるシャビが全治6か月の重傷を負い、さらに終盤戦になると次々に主力選手が離脱したが、チーム全体に戦術が浸透していたため、誰が代わりに出てもチームの安定感は保たれた。
 
 決してスペクタクル一辺倒ではなく、守るべき時にはしっかり守るという状況判断も的確だったのは、リーガだけでなく、あらゆるコンペティションに勝てるチーム作りをバルサが目指していたからだ。
 
 一部メディアから「面白味がなくなった」と非難されながらも、"勝つチーム"となったバルサは、CLでも勝利を重ねていった。
 
 グループステージではブレーメン、ウディネーゼ、パナシナイコスとのグループを5勝1分けで勝ち抜き、トーナメントではチェルシー(昨シーズンの雪辱)、ベンフィカ、ミランを次々に撃破して、93-94シーズン以来となる決勝戦へ駒を進めた。
 
 アーセナルとのファイナルは、18分にサミュエル・エトーが相手GKイェンス・レーマンのファウル(→一発退場)を誘い、バルサに数的有利をもたらす。しかし先制点を挙げたのは、攻撃に晒されていたアーセナルの方だった。
 
 もっとも、攻撃力では圧倒的にバルサの方が上である。焦らず、いつも通りの分厚い攻撃を仕掛けた結果、後半31分にエトーの同点ゴールが決まり、試合終了まで10分を切ったところでベレッチによる決勝点がもたらされた。
 
 チームが熟成の時を迎えたバルサは、文句なしの強さで欲しかった2つのタイトルを手にした。
 
 ロナウジーニョらスター選手たちは昨シーズン以上の働きを見せ、カンテラ出身の選手たちはさらに成長、なかでも2年目のリオネル・メッシはワールドユースで得点王&MVPを受賞する活躍でアルゼンチンを優勝に導いた余勢を駆り、6得点を記録して早くもバルサでその地位を確立しつつあった。
 
 黄金時代は当分続く――。これはバルセロニスタの願望などではなく、誰もがそう思わざるをえないほどに、バルサは充実していた。
◎2005-06シーズン成績
リーガ:優勝(25勝7分け5敗・79得点32失点)
国王杯:準々決勝敗退(対サラゴサ)
チャンピオンズ・リーグ:優勝(対アーセナル)
 
チーム内得点ランキング(リーガ):エトー(26点)、ロナウジーニョ(18点)、ラーション(10点)、ジュリ(6点)、メッシ(6点)、デコ(3点)、エスケーロ(2点)、ファン・ボンメル(2点)、シルビーニョ(2点)、モッタ(1点)、プジョール(1点)
 
◎主なトランスファー
◇IN

MF ファン・ボンメル(←PSV)
MF リュドビク(←ユースから昇格)
FW エスケーロ(←アスレティック・ビルバオ)
◇OUT

DF F・ナバーロ(→マジョルカ)
MF ジェラール(→モナコ)
MF アルベルティーニ(→引退)
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