【中村憲剛の欧州サッカー観戦記】今のバルサは“最強”じゃなくて“最恐”! チームの肝はブスケッツだ!

2015年12月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

リズミカルな崩しにカウンターが加わって破壊力が増した。

海外サッカーを長年見続けている中村憲剛が、バルサのサッカーを語りつくす! (C) Reona TAKENAKA

 僕は1992年からバルセロナを見続けているんですが、なかでもグアルディオラが監督だった2008年~2012年ぐらいのチームは"最高"という印象でした。シャビやプジョールを筆頭にカンテラ出身者が多くて、みんながひとつの集合体のように、隙もなく、完膚なきまでに叩き潰すチームでした。
 
 昨シーズンからルイス・エンリケが監督になりましたが、やっぱりバルサのサッカーの土台は変わっていない。ただ、スアレスとラキティッチが昨年の夏に入って、しかもチームに馴染んだのは凄く大きいと感じます。ふたりのフィジカル的な強さは、それまでのバルサに欠けていたもの。その点がグアルディオラ政権下のバルサとの違いですね。
 
 今はMSN(メッシ、スアレス、ネイマール)の力を前面に押し出しているから、それを後方の7人がうまくサポートしている。
 
 グアルディオラのチームに比べると、多少の隙はあるんです。だけど、それを補って余りあるカウンターの破壊力がある。縦一本で裏が取れるし、対角にもロングフィードを出せる。その間に誰かがスペースに走りこんでペナルティーエリア内で決めたりもできる。バルサ本来のリズミカルな崩しにカウンターが備わって、余計にタチが悪くなったかな(笑)。
 
 それと"出して動く"を当たり前のように繰り返して、みんなが前を向いて相手の嫌なところへ突っ込んでいけるから点が取れるんですよね。1タッチプレーの連続から奪ったローマ戦の2点目なんかは、その動き出しがよく表われたゴールでしたね。だから、今のバルサは"最恐"って感じです。だって、恐ろしいでしょ? あの3トップ(笑)。

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