【広島】CSは「正直、プレッシャーでしかなかった」と佐藤寿人。来季以降については、「いろんな側面から議論されるべき」

2015年12月06日 サッカーダイジェスト編集部

「年間1位になっても、もう一度ハードルを乗り越えなきゃいけない難しさはありました」

「たくさんのひとたちが大一番に来てくれたプラスの部分もある」とメリットを語る一方で、「年間1位になっても下手したら報われない可能性があった」とCSの難しさも吐露した。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 2年ぶり3度目の頂点に輝いたチームを陰日向に支え、自らも中山雅史が持つJ1最多記録の通算157ゴールに並んだ大エースは言う。「正直、プレッシャーでしかなかった。年間1位になっても下手したら報われない可能性があったわけですからね」。

 もちろん、「そういうものでやるって決めてシーズンに入る以上は、乗り越えなきゃいけない」と覚悟は決めていたが、重圧は相当のものだったのだろう。佐藤寿人はタイトル獲得の喜びを噛み締めつつ、CSの難しさについても言及した。

【JリーグCS決勝 第2戦 PHOTOハイライト】広島 1-1 G大阪

佐藤寿人(FW
 
――まずは、サポーターの皆さんにひと言お願いします。
 
「ふたつ目の星(タイトル獲得の証)を付けてから、3つ目をずっと約束してきたんですが、それを果たせて嬉しいです。来季に3つ目の星を身にまとって戦えるのは誇りですね。でも、天皇杯で一気に4つ目を獲るチャンスがあるし、クラブワールドカップもあります。みんな欲張りですから、4つ目と行けるようにしたい。まだまだシーズンを終わりたくないし、この素晴らしいチームで戦い続けたいと思います。

 クラブワールドカップは本当にサッカーを楽しめる場所だと思いますし、いろんな方々に見てもらえる機会なので、思う存分、プレッシャーとは違った楽しさや喜びを感じながらプレーしたいと思います」
 
――2012、13年の優勝と今回の味は違いますか?
 
「全然違いますね。もちろん、優勝の喜びを知っているからこそ、難しさや苦しさは感じました。この2年でチームが変化したなかでのタイトルなので、本当に全員で勝ち取ったという言葉がふさわしい。

 今シーズンは、リーグタイトルを獲ろうという形のチーム作りでは、決してなかったと思うんです。主力がふたり抜けて(髙萩と石原が移籍)、そのなかでも上手く補強できた部分もありましたが、未知数のなかで開幕を迎えた。そのなかでも監督を中心に、全員が成長してチーム力を高めて行こうとやってきた。若手も中堅も、僕ら経験のあるベテランもそれぞれが成長しようという想いでやってきて、やっぱり個の成長なくしてチームの成長はないと実感したシーズンでした。

 そういう意味では、ピッチに立てなかった選手も含めて全員が成長できた。それがこの3つ目のタイトルにつながったと思います。本当に苦しかったというか、年間1位になってもチャンピオンシップを獲らないと報われないという恐怖心はありましたし、アウェーで勝ったことで、ますますガンバは失うものがない状態で来られる。その怖さを感じていたので、本当に勝ててホッとしています」

――第2戦も今季のサンフレッチェを象徴するような我慢強さを感じました。

「前半に先制されたのは予想外でしたが、そのなかで我慢強くゲームを進めて、途中から入った選手が流れを変えてゲームを決められました。カシ(柏)とタクマ(浅野)が得点を奪ってくれたし、ミズ(水本)も怪我から戻ってきて、しっかり身体を張って防いでくれました。

 今日ベンチに入れなかった選手も、ベンチに入れるようなクオリティを持っています。今シーズンは一番、チームのなかでの競争があったと思うし、練習のクオリティも高かった。僕自身、16年プロでやっていますが、これほど良い練習が出来ているチームはないなというくらいです。

 だから自信を持って試合に望めますし、ガンバは難しい相手でしたが、最後の最後までコントロールして我慢強く試合を進められた。押し込まれる時間も長くて、すごいギリギリのなかでしたけど、劣勢のなかでも我慢強く戦える、土俵際で残れるってところが自分たちの強さかなと思います」
 
――CSという制度を初めて経験しました。チャンピオンになったからこそ言えることがあると思います。
 
「年間1位になっても、もう一度ハードルを乗り越えなきゃいけない難しさはありました。正直プレッシャーでしかなかったというか、年間1位になっても下手したら報われない可能性があったわけですからね。

 もちろん、それがあるからこそ勝利の喜びが大きい部分も感じますし、これだけたくさんのひとたちが大一番に来てくれたプラスの部分もあります。でも、1シーズンなのか、2ステージをやってチャンピオンシップなのかという議論は、いろんな側面からされていくべきですし、それによって、また変化していくと思います。

 来年はどういった形になるか分かりませんが、そういうものでやるって決めてシーズンに入る以上は、乗り越えなきゃいけないですね」
 
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