武藤は攻守で勝利に貢献するも、数度の逸機には悔いを残す――ハンブルク 1-3 マインツ

2015年12月06日 遠藤孝輔

堅守速攻を徹底し全員が攻守でハードワークを見せたマインツ。

 12月5日のブンデスリーガ第15節、ハンブルクの本拠地に乗り込んだマインツが、アウェーチームの定石を踏んだ見事なリアクションサッカーを披露。90分にCKから失点を喫するも、3ゴールを奪う完勝を収めて、順位を7位まで浮上させた。
 
 ラッツァの出場停止に伴い、2ボランチの一角にDFが本職のハラを起用したマインツは、ボールポゼッションには拘泥せずに、前線のスペースに飛び出す武藤狙いのカウンターを徹底。ホームチームが前に圧力をかけてきた立ち上がりを無失点で切り抜けると、16分にややラッキーな形で先制点を挙げる。
 
 ピッチに倒れていたハイロが相手のクリアボールをダイレクトで合わせ、GKの頭上を越えるスーパーゴールを決めたのだ。
 
 押し込みながらも先手を取られたハンブルクは、35分にビッグチャンスを迎える。酒井のスルーパスに反応し、右サイドを破ったN・ミュラーがエリア内にラストパス。しかし、グレゴリチュが得意の左足で狙い澄ましたシュートは枠を捉えなかった。
 
 絶好機を逃したハンブルクに対し、マインツはきっちりとチャンスをモノにする。51分、ハイロが豪快な右足シュートを突き刺し、リードを2点に広げた。
 
 攻めるしかなくなったハンブルクは、57分にオリッチとディアスを投入。その10分後、左サイドからチャンスを作り出す。しかし、ここで再びグレゴリチュがブレーキに。エリア内から放ったシュートは、GKカリウスに難なく処理された。
 
 すると76分、前がかりになるハンブルクをあざ笑うかのように、マインツが鮮やかなカウンターで3点目。ボール回しの起点だったホルトビーのパスを掻っ攫い、一気の速攻でクレメンスのゴールに結び付けた。
 
 このダメ押し点をアシストしたのは、すでに"ドッペルパック(2得点)"の活躍を見せていたハイロ。22歳のスペイン人ウインガーが14年夏の入団以来ではベストとも言えるパフォーマンスを披露し、アウェーチームに貴重な勝点3をもたらした。
 
 もちろん、堅守速攻の基盤となった選手全員の攻守両面でのハードワークも称賛に値するだろう。なかでも中盤のフィルター役として機能した主将バウムガルトリンガーの出来は素晴らしかった。
 
 79分にピッチを退いた武藤に言及するなら、先制点の起点となっただけでなく、守備では相変わらず献身的な働きを見せていた。
 
 ただ悔やまれるのが、70分、71分と続けざまに訪れた決定機を逃したこと。トラップとシュートの乱れから、シーズン8点目を挙げるには至らなかった。
 
文:遠藤孝輔
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