平畠啓史チョイス“至極の11人”|山岸祐也はもっと取り上げて騒いでもらいたい一人。酒井高徳と武藤嘉紀は闘う神戸の象徴【J1月間ベストイレブン3月】

2023年04月04日 平畠啓史

名古屋の守護神、圧巻の1対1ストップ

平畠氏がセレクトした3月のJ1月間ベストイレブン。MVPは福岡の山岸だ。(C)SOCCER DIGEST

 芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦。Jリーグウォッチャーとしておなじみの平畠啓史氏がセレクトする「J1月間ベストイレブン」。3月の栄えある11人はどんな顔ぶれになったか。MVPには、アディショナルタイムに勝点を0から3にしたフォワードを選出した。

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 GKは名古屋のランゲラック。相手の攻撃時、細かいステップで常にポジション修正を繰り返しているが、第4節・柏戦で細谷真大が抜け出し1対1の局面になった時、無駄に動くことなく、先に倒れ込むこともなく立ちはだかり、右手一本で余裕で止めてみせた。

 あの場面を見た人は、ランゲラックからゴールを奪うことがいかに難しいことであるかを感じたはず。圧巻の1対1ストップだった。
 
 DFは、右サイドには横浜の松原健。第5節、鹿島戦でエウベルからのパスをダイレクトで打ったミドルシュートはファインゴール。手応え、いや足応えがあったに違いない。シュートがゴールネットを揺さぶる前にゴールを確信して走り始めている。プレー経験のある人なら、一度は決めてみたいゴール。途轍もないインパクトを残した。

 左サイドには、ここ最近は右サイドでのプレーが多いが、神戸の酒井高徳。首位を走る神戸の今シーズンは闘う集団の空気感に満ちている。組織のための個人ではなく、力強い個が集まった集団。右サイドの武藤嘉紀との関係性も良く、そこに山口蛍が加わった時に生み出される力強い空気感は、他にはないグルーヴ感がある。第3節・G大阪戦の2ゴールはもちろん、常に強度の高いプレーを酒井は披露し続けている。

 CBは広島の塩谷司。攻守両面でプレー強度が高く、そのパワーを出力するエリアやタイミングが絶妙。第5節の柏戦でのゴールも見事だった。CBのもう一人は浦和のマリウス・ホイブラーテン。守備者としてのスキルは高レベル。さらにビルドアップでも落ち着いた配給を見せる。第4節・神戸戦の伊藤敦樹のゴールのきっかけとなる、大久保智明に出したパスは正確性だけでなく狙い所が素晴らしかった。
 

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