ぶっつけ本番で新境地開拓。木村誠二が3バック左で未経験のプレーにトライ「上手くやれていた気はする」と手応え【U-22代表】

2023年03月29日 松尾祐希

「海外の相手でもやれる」と確かな自信も

ベルギー戦で新たな可能性を示した木村(写真はドイツ戦)。(C)Getty Images

[国際親善試合]U-22日本 2-3 U-22ベルギー/3月27日/ピナタル・アレーナ

 前半と後半では、まったく別のチームだった。

 U-22日本代表は、欧州遠征でU-22ベルギー代表と対戦。前半は3-4-2-1の布陣で挑んできた相手に対し、ミスマッチが続出。4-3-3のシステムに噛み合わず、CB西尾隆矢(C大阪)が相手のCF、鈴木海音(磐田)がシャドーのひとりをマークするため、もうひとりのシャドーが宙に浮く状態となった。

 その結果、右SBの中村拓海(横浜FC)が1人で2人を見る形に。数的不利な状態で守るしかなく、ミスも重なって0-2でハーフタイムを迎えた。

 そうした状況を打開するべく、大岩剛監督が打った策は3-4-2-1への移行。そこでキーマンになり、新たな可能性を示したのが、FC東京の木村誠二だ。後半開始から3バックの左で起用されると、驚きのプレーでチームに貢献する。

 相手が後半開始から4-3-3に変更し、さらに途中からは4-4-2のフォーメーションで相対してきたため、木村のタスクは目まぐるしく変わった。左のCBを務めつつ、途中からは左SBに近いポジションでプレー。得意の対人プレーで強さを見せたのはもちろん、最も驚きだったのが攻撃面で存在感を示した点だ。

 投入される時点で、攻撃面の活性化を期待されていた。しかし、木村にとって、守備に比重を置く3バックの経験はあっても、攻撃的な役割を担うための3バックは未体験。

「FC東京でも3バックの左に入ったことはある。だけど、去年とかはクローザーの役割で、守備的な感じの投入だった。今日みたいにガンガン運ぶとか、前に関わっていくことはなかったんです」

 少なからず戸惑いはあったが、状況を見ながらプレーして、積極的に攻撃へ関与していく。
 
 左サイドから攻撃に加わると、ボールを上手く捌きながら前線に顔を出す。スペースがあると見れば、スルスルと持ち運んでアタッキングサードにボールを送り込んだ。立ち位置も良く、初めてのトライとは思えないぐらいに安定感があった。プレーを振り返り、木村はこう話す。

「前気味に開きすぎないように意識していた。僕のところでプレスをかけられて、ハメられるのが一番良くない。後ろにも中にもボールを返せるし、前にもゆっくり運べるよ、ぐらいのポジションを心がけていた」

 今遠征のトレーニングでもやっておらず、ぶっつけ本番だったが、新たなオプションとして可能性を示したのは間違いない。

「左足が利き足ではないので、ちょっと難しい部分はあった。ただ、立ち上がりにいきなりボールを奪われたところ以外は、そこまで大きなミスはなかったので、上手くやれていた気はする。最低限のプレーはできた」

 満足しているわけではないが、一定の手応えは得ている。だが、大事なのはここからだ。「海外の相手でもやれるというのは、確実に自信になった。あとはチームに帰って、どれぐらい日常で練習に取り組んでいけるか」とは木村の言葉。

 FC東京では、今季はリーグ戦の出場がない。クラブで結果を残せなければ、代表でプレーする可能性は小さくなるのは自明の利。次なる目標を見据え、木村はFC東京で新たなチャレンジをスタートさせる。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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