浦和Lが「埼玉ダービー」でEL埼玉に競り勝つ!土壇場で清家貴子が決勝弾。厚みを増した選手層を再確認【WEリーグ】

2023年03月13日 西森彰

ジリジリするような展開にも焦りはなし

清家のゴールで「埼玉ダービー」を制した浦和L(写真は今年2月のもの)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 3月12日、浦和駒場スタジアムでは、WEリーグ第10節で三菱重工浦和レッズレディースと、ちふれASエルフェン埼玉が対戦した。

 首位の INAC神戸レオネッサを勝点1差で追う浦和Lにとっては、絶対に落とせないホームゲーム。一方、7位のEL埼玉も上位浮上を狙ううえで重要な一戦だ。加えて、大宮アルディージャVENTUSを含めた3チーム間で行なわれる「埼玉ダービー」6試合の対戦成績から優勝チームに、埼玉県から知事杯贈呈の栄誉も加わる。

 前半は、両チームが中盤で奪い合う、潰し合いの時間帯が長くなった。「後半戦になって、長船加奈が戻ってくるなど良いニュースしかなかったが、(今日の内容は)それに比例するほど良い内容のゲームではなかった」と、浦和Lの楠瀬直木監督は振り返る。

 浦和Lはボールを保持する時間は長かったが、EL埼玉も中盤からボールホルダーへプレッシャーをかけてきて、忙しい状況が続く。浦和Lは、3バックで待ち受けるEL埼玉の守備と対峙するFWへ当てて、そこからの展開を狙うような場面が多かった。猶本光は「相手のセンターバックが3枚いるのに、中央へ行き過ぎた。数的優位ができるサイドから、もう少し回していってもいいんじゃないかと感じていた」。

 裏を狙ったボールも、EL埼玉のGK浅野菜摘がしっかりと処理していく。「前節までやってきたこと、どこでボールを奪うかなどができていた。自分たちが上手く、相手をハメていければ、最終的には入れてくるということで準備していました」(浅野)。
 
 ジリジリするような展開にも、浦和Lの選手に焦りはなかったという。それは「守備が安定していたから」(猶本)。復帰後初のホームゲームとなる長船、そして石川璃音がほとんど決定機を与えない。

 数少ないピンチは、GK福田史織が防いだ。WEリーグ開幕後、浦和L戦で2試合連続ゴール中の祐村ひかるに得点を許さない。23分のロングシュートにはバックステップから右手を伸ばしてバーに逃れ、67分のDFの股下を抜いてきたシュートも、両足を閉じてしっかりと対応した。

 ゴールが生まれたのは89分。浦和Lは、人数をかけて奪いにきたEL埼玉の守備網をかいくぐると、途中出場の塩越柚歩がドリブルで持ち上がり、トップの位置へ上がっていた清家貴子へ。

「前に上がって強さを期待されているのは理解していたし、これまでどおりに。チームとしても共通認識を持ってくれている」という清家のシュートは、再三好守備を見せていた浅野も止めることができなかった。これが、この試合唯一のゴールとなった。
 

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