【U-22日本代表】電光石火のスピードで猛アピール。伊東純也に芽生えた“欲”

2015年11月27日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「スピードを出せれば活躍できるし、競争に残ってやろうという気持ちはある」

76分、自慢のスピードで右サイドを突破し、そのままフィニッシュへ。惜しくもポストに阻まれたが、4-3-3の右ウイングで強烈なインパクトを残した。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 11月23日から26日まで平塚でキャンプを張ったU-22日本代表。最終日に行なわれた湘南との練習試合(1-1)で、同点弾を決めた鈴木と同等のインパクトを残したのが、今回初招集の伊東純だった。

【写真】U-22日本代表 1-1 湘南

 56分から、4-3-3の右ウイングとしてプレー。「攻撃の時はワイドで張って全部仕掛けろ」という手倉森監督の指示通り、自慢のスピードでピッチを駆け抜けた。72分、後方からのロングボールに抜け出した場面は上手く合わなかったが、その4分後には、右サイドでサイドチェンジを受けると、ひとりでカウンターへ。ペナルティエリア内右45度から右足を振り抜いたが、シュートは惜しくも右ポストに弾かれ、ゴールはならなかった。

「限られた時間だったけど、1本チャンスはあった。正直、普通に決められたし、そういうのをしっかり決めないといけない」(伊東純)

 確かに、フィニッシュの精度は課題だ。合流初日にも、指揮官から「シュートを外すな」と檄を飛ばされている。ただ、推進力やスピードを持ち味とする湘南の菊池大介を相手に、それを振り切って独力で決定機に持ち込んだ点は評価に値する。なにより、「サイドで作って走っている選手をシンプルに使う。当てて落として飛び出すのがこのチームの特長」であるなかで、伊東純の圧倒的なスピードは大きなスパイスになる。手倉森監督もその可能性に手応えを感じたようだ。

「彼(伊東純)のスピードがこのチームでどう活かせるか。4-3-3でワイドを高くして、(CFの)鎌田を落としてコンビネーションを絡めた戦術の理解力が必要だったんですけど、ワイドで特長を出してくれた。やっぱりスピードが武器だなと」(手倉森監督)

 初めて代表のユニホームを纏い、「もっとこのチームでやりたい」という想いが芽生えたという。それはレベルの高いチームメイトたちから刺激を受けたからであり、"良い経験"で終わらせるのではなく、また選ばれたいと"欲"が生まれてきたからだ。

「スペースを見つけて走ったり、自分の特長を出すことに関して、ある程度達成できたと思います。自分の武器であるスピードをしっかり出せれば活躍できるし、(競争に)残ってやろうという気持ちはあります」

 まだ一度アピールしたに過ぎないが、「間違いなく、この競争の中に加わってきた」という言葉から察するに、手倉森監督の頭の中に伊東純の名前が刻まれたのは事実だ。来年1月に控えるアジア最終予選、さらにはリオデジャネイロ五輪本大会まで、サバイバルレースに食らい付くことができるか。遅れてきたスピードスターの意地に期待したい。


取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
 
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