キラリと光る“遊び心”。特別指定の湘南DF髙橋直也がMF起用に手応え「途中から余裕を持ってプレーできた」

2023年03月09日 岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

「先輩たちの良いところを見て、技を盗みながら成長したいです」

特別指定ながら出色の出来を見せた髙橋。ボランチでのプレーは高校以来だという。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 湘南ベルマーレは3月8日、ルヴァンカップのグループステージ第1節で浦和レッズと対戦した。

 立ち上がりはハイプレスで相手のビルドアップを封じ、敵陣でボールを奪ってショートカウンターを発動するシーンもあったが、徐々にペースを握られ、決定機を作れず前半終了。ハーフタイムに修正を施すと、後半は守備の迫力を取り戻す。特に65分の町野修斗、鈴木章斗、平岡大陽の同時投入で流れを引き寄せ、相手ゴールを脅かす回数を増やした。だがフィニッシュの精度があと一歩及ばず、0-0のスコアレスドローに終わった。

 勝点1を分け合ったゲームで輝きを放ったのが、特別指定選手の髙橋直也だ。3-5-2のアンカーとして先発すると、180センチの体格を活かした守備と安定感のある配球を披露。24年シーズンの内定が決まっている21歳を、山口智監督はこう評している。

「すごく良かったです。課題はありますが、遊び心のあるボールタッチや、守備の上手さも見せてくれました。アンカーは茨田(陽生)がいないなかでどの選手がいいのか考えましたが、中盤でも最終ラインでも持っている能力を発揮できるイメージがあったので、期待を込めて使いましたし、期待に応えてくれました」

 湘南ではDF登録で、現在所属する関西大では主にCBを務めるだけに、対人守備や空中戦に特長を持っていると思われた。もちろん、守備面でも優れた能力を見せたが、指揮官が語ったように、驚きだったのはその「遊び心」だ。

 切れ味抜群のキックフェイントや巧みなターンなど相手の逆を突くプレーでボールを前進させれば、バックスピンをかけた絶妙なパスを繰り出す。攻守で好パフォーマンスを見せた浦和戦について、髙橋は次のように振り返った。
 
「緊張はそこまでなく、湘南で試合に出られるというワクワクが大きかったです。最初は試合に入るためにシンプルさを意識しましたが、途中からは最後まで相手の動きを見る余裕を持ってプレーできました」

 CBからアンカーへのコンバートについてはこう語っている。

「湘南に来てから中盤をやらせてもらっています。大学ではCBが主戦場ですが、高校時代まで本職がボランチで、たまにCBをやる形でした。その時からボランチのほうが好きだったので、湘南でアンカーをやらせてもらえてすごく嬉しいですし、そこでポジションを掴みたいです」

 また、中盤での定位置争いについては、「同じポジションにバラさん(茨田)や永木亮太さんがいて、それぞれ武器が違います。先輩たちの良いところを見て、技を盗みながら成長したいです」とコメント。経験豊富なライバルとの切磋琢磨でどんな成長を見せるのか、楽しみだ。

 プレーモデルは「フレンキー・デ・ヨング」だという髙橋。理由は「攻守においてハイレベルで、ドリブルで剥がす、パスでリズムを作るなどすべてができる選手」だからだ。ラ・リーガで首位をひた走るバルセロナで躍動するMFと同様、チームを勝たせる存在になれるか。湘南のニュースター候補に、注目が集まる。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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