「ソシエダの攻撃はクボが中心」周囲の不調でマークが集中も…久保建英の違いを作るプレーを番記者が賞賛。観客は「タケを下げるなら、家に帰る」【現地発】

2023年03月08日 ミケル・レカルデ

プレーに関わる機会が限られても危険を生み出すことができる

カディス戦で何度かチャンスを創り出した久保だったが…。(C)Getty Images

 人間は同じ石に2度躓く唯一の動物と言われる。レアル・ソシエダもそうだ。ラ・リーガ18節、敵地でラージョ・バジェカーノに会心の勝利(0-2)を飾った時、とても幸せな気分になることが約束されているかと思われた。しばらく降格争いをしているチームとの対戦が続き、しかも他のコンペティションの試合がないため、リーグ戦に専念することができたからだ。

 しかし過去2シーズンと同様に、2月はソシエダにとって頭痛の種をもたらす月となった。ラ・リーガ最近6試合で1勝と失速している間に、アトレティコ・マドリーに3位の座を譲り、ベティスにも接近を許した。

 ソシエダが直面している大きな問題は、開幕以来、フル稼働を強いられてきた選手たちが、この時期には誰も予想していなかったほどの疲労を蓄積していることと、故障復帰組が、試合勘を取り戻せないままプレーしていることだ。

 タケ・クボ(久保建英)はその第1グループに属するが、例えば相棒のアレクサンダー・セルロトのような顕著な症状は見られない。エスパニョール戦(21節:3-2)を除けば、絶好調だった時期に比べれば確かにパフォーマンスは落ちているが、ボールを持つと電流を走らせ、相手DF に倒されてもすぐに立ち上がり、繰り返しトライする。
 
 周りの選手の不調でマークが集中する中での、そのハートを前面に押し出したプレーは、並外れた自信の賜物だろう。チームメイトが頼りにするのは自然なことで、ソシエダの攻撃は、タケを中心に回る結果となっている。そのチーム内における重要性はトップ下からサイドへのポジション変更に伴い、システムが中盤ダイヤモンド型の4-4-2から4-3-3にシフトしたカディス戦(0ー0)でも明らかだった。

 中でも目を見張るのが、プレーに関わる機会が限られても、危険を生み出すことができていることだ。カディス戦もそうだった。最初の見せ場は19分。アレックス・レミロのロングフィードをぴたりと収めるとドリブルで独走。しかし前方で呼応して動いたミケル・オジャルサバルがかえって邪魔してしまい、精度を欠いたシュートは枠の右へ大きく外れた。

 チームメイトとうまく連携を取れなかったのは32分のプレーも同様で、この場面はタケが背後でミケル・メリーノのクロスを待ち構えていたにも関わらず、直前にカルロス・フェルナンデスが無理な体勢でヘディングシュートを打ちチャンスを逸した。

【動画】久保が見事なボール奪取からビッグチャンス創出も…味方が外してアシストならず

次ページ大一番を前にタケは希望の星になっている

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事