「キャンプ中から自宅に戻れず、ストレスを抱えている選手もいる」。それでもクラブ史上初の開幕2連勝を飾ったモンテディオ山形の底力

2023年02月28日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

3節の磐田戦で鍵を握るのは…

山形の攻撃を牽引するデラトーレ。千葉戦でのコントロールショットは美しかった。写真:J .LEAGUE

 2月18日に甲府を2−1で下すと、続く2節は千葉に3−1と逆転勝利。クラブ史上初の開幕2連勝を飾った山形は、今季J2で大暴れしそうな勢いを感じる。

 山形は全国で有数の豪雪県であるため、開幕数試合はアウェーでのゲームを余儀なくされる。「キャンプ中から(ホーム開幕戦間近まで約2か月も)自宅に戻れず、ストレスを抱えている選手も間違いなくいる」(山田拓巳)状況にもかかわらず、ピッチではハイパフォーマンスを披露しているのだから見事というしかない。

 専守防衛ではなく、あくまでアグレッシブに振る舞う。昨季の主力である山田康太、ディサロ燦シルヴァーノ、半田陸などが移籍で抜かれたダメージを感じさせることなく、縦に速いアタックからゴールを陥れるサッカーは痛快そのものだ。

 なかでも、右サイドを活性化した新戦力のイサカ・ゼイン、共に開幕2試合連続ゴールのデラトーレとチアゴ・アウベスは好調で、チームを力強く引っ張っている印象だ。ニューフェイスではセカンドトップの後藤優介、左サイドバックの小野雅史も仕掛けや崩しの局面で存在感を示しており、彼らが躍動する姿からはいわゆる一体感、さらに底力も感じられる。
 

 もちろん、ミスがないわけではなく、甲府戦や千葉戦ではつなぎのミスからピンチを招くシーンもあった。クラモフスキー体制3年目とはいえ、チームは発展途上の段階にあり、このタイミングで優勝候補の筆頭などとは言えない。

 ある意味真価が問われるのは次節の磐田戦だろう。開幕2試合で1分1敗と白星がないとはいえ、もともと力はあるクラブだ。

 その磐田戦でもアグレッシブなサッカーを貫き、勝点3を獲得して首位をキープできれば山形は大きな自信を手にできる。鍵を握るのは右サイドか。右サイドバックの川井歩と右サイドハーフのイサカ・ゼインのコンビネーションで敵陣を切り裂き、得点機を演出できれば勝機の芽は膨らむ。最終局面ではデラトーレの決定力が光るので、このCFに良い形でボールが入るとゴールラッシュも期待できる。

  昨季のJ1参入プレーオフで敗れた悔しさを糧に、今季は躍進、ひいてはJ1昇格を誓うモンテディオ。今季ここまでの勝ちっぷりを見ると、2023年シーズンが彼らの年になっても不思議はないと、そんな予感すらある。

構成●サッカーダイジェスト編集部

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