開幕2戦で広島がぶち当たった壁。「最後の細かいところが足りていない」。“あと数センチ”をいかに埋めるか。指揮官の手腕に期待

2023年02月27日 寺田弘幸

今季もこれから成長曲線を描いていくはず

開幕2戦を終え、未勝利の広島。突きつけられた現実とどう向き合うか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第2節]広島1-2新潟/2月26日/Eスタ

 フラストレーションの募る試合が続いて広島の23年が始まった。

 開幕戦の札幌戦では、後日にVAR判定に誤審があったことをJFAの扇谷健司審判委員長が認めたが、ゴールを奪えずスコアレスドローに終わった結果は変わることなく、第2節の新潟戦は2点ビハインドを負って迎えた後半に怒涛の攻撃を見せたが、セットプレーの流れから塩谷司が強烈なボレーシュートを蹴り込んだ1得点だけにとどまって勝点は一つも得られなかった。

「第1節もそうでしたし、今節もあと一歩のところでした。あと数センチのところまでは行っていると思っています。本当に最後の細かいところが足りていないと思います」

 そうミヒャエル・スキッベ監督が振り返っているように、最後のフィニッシュに関わるところで何かしらの要素が不足している。シュートを打てていることを踏まえれば、チームの攻守のオーガナイズに目を向けるよりも、ユニット間のコンビネーションや選手個々のクオリティ、アイデア、メンタリティに目を向けるべきだろうが、これらの壁にぶち当たることは、シーズンが始まる前から満田誠も覚悟していたことだった。

「昨年にやってきたことを継続していくなかで、一つ二つクオリティを上げていかないと。同じことをやっていても厳しいと思うので、積み上げてきたものをみんなでレベルアップさせていきたいですし、それは僕自身にも言えることです。

 昨年は1年目で自分のデータもなかったからストロングを活かせた部分があったと思いますし、今年は相手に研究されたなかでどこまで通用するのか。真価が問われるシーズンになると思うので、自分ももう一つ二つ成長していきたい」

 チームの成長なくして、選手個々の成長もなくして、今季にさらなる成功を掴むことはできない。そのことを実際にピッチの上で知ることになった開幕2試合は、必ずやこれからの成長を促すエネルギーの源となるだろう。
 
 思い返せば、昨季も広島はなかなか得点が奪えない問題を抱えてスタートした。そして、スキッベ監督がクロスに飛び込んでいくトレーニングを繰り返していくなかで、満田の台頭があり、ナッシム・ベン・カリファの加入もあり、広島はどこからでも得点を奪えるチームになって、最終的にはリーグで3番目に多い得点を挙げるチームになっている。

 今季のチームもこれから成長曲線を描いていくはずだ。スキッベ監督がどこにフォーカスして得点力の向上を図るのかは非常に興味深いポイントで、選手個々が現状を打ち破っていくために起こしていくアクションにも注目が集まる。

 満田は新潟戦に敗れた現実を受け入れ、すぐに次戦へ気持ちを向けていた。

「この敗戦を引きずり過ぎてもいけない。自分たちに失うものはもう何もないですし、思い切ってチャレンジしていきたいと思います。マリノスのやることは変わらないと思うんで、まず一人ひとりがバトルで負けないことが重要になってくると思います」

 シーズンは始まったばかり。壁にぶつかったのなら、強い気持ちを持って挑み続けて乗り越えていけばいい。

取材・文●寺田弘幸(フリーライター)

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