【広島】双子の兄・勇人が語る佐藤寿人の「ワンタッチゴール」の原点。「自分の欠点を認め、向き合ったからこそ」

2015年11月22日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「数年前からゴンさんの記録を抜くのは間違いないと分かっていた」

勇人(左)と寿人(右)はユース時代に続き、プロ入り後も市原で2年間一緒にプレー。兄・勇人によれば、小さい頃からワンタッチで合わせる練習を繰り返していたという。 (C)SOCCER DIGEST

 J1第2ステージ最終節・清水戦の42分、佐藤寿人は今季12点目を挙げ、中山雅史氏の持つ通算得点数(157)に並んだ。これまでリーグ戦で積み上げてきたゴール数は歴代トップの200以上。Jリーグ史上最高のゴールハンターが大記録を達成した背景に迫るべく、小学校時代にともにサッカー人生を歩み始め、市原ジュニアユース、市原ユース、市原(現・千葉)と長きに渡って最も近い場所から寿人を見てきた、双子の兄・勇人に若かりし頃の寿人について訊いた。
 
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 僕としては、数年前からゴンさんの記録を抜くのは間違いないと分かっていたので、周囲の人たちはビックリしているかもしれませんが、まったく驚いていないです。これもひとつの"通過点"だと思います。
 
 今季の活躍もいつもと変わらないですよ。チームのために走り、得点を取って勝利に貢献する。それは寿人が常に心掛けているプレーです。
 
 スタイルも昔からまったく変わっていませんね。スピード、高さ、爆発的なシュート力などFWとして飛び抜けた武器を持っていないからこそ、アイツのなかでは「ペナルティエリアの中でワンタッチで合わせる」という、フィニッシュの方法に辿り着いたんだと思います。小さい頃からその練習とイメージは繰り返していました。
 
「自分の欠点を認める」のは言葉では簡単ですけど、実際には難しいこと。だけど、自分と向き合いながらここまでやってきたのは本当に素晴らしいです。記録を達成できたのも無駄なことをせず、自分のできるプレーに100パーセント、フォーカスしてきたからこそ。欲を出すこともありませんしね。
 
 寿人の活躍は、多くの子どもたちの励みになるはずです。誰もが高いスピード、フィジカルを持っているわけではなく、自分の足りないところを理解しながらプレーすることが必要ですから。僕らはプレーでそういう姿を伝えていかなければいけないし、より長く現役を続けて多くの人に見てもらえればいいなと思います。
 
 記録達成後はきっと忙しいはずなので、落ち着いたらまた一緒にご飯を食べに行きたいですね。
 
取材・構成:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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