【浦和】鈴木啓太が“愛する人たち”の前で引退を発表。チームメイトから背番号と同じ『13』回の胴上げで送り出される

2015年11月22日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

「上手な選手ではありませんでした。でも、勝利のために走り続けてきたこと、それが僕のプライドでした」。

背番号にちなみ13回の胴上げ。「優勝してミシャを胴上げしたいし、僕もまたしてもらいたい(笑)」と語った。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 第2ステージ最終17節の神戸戦後、鈴木啓太が現役引退を発表した。2000年から浦和で16シーズンに渡ってプレーしてきた背番号13は、すでに今季限りで退団することが決まっていた。そしてこの日試合後に用意されたセレモニーの場で、「チームメイト、スタッフ、サポーター、愛する人たちに直接伝えたかった」と引退を報告したのだ。

「サッカー少年が夢を見て静岡を出てきて、いつしか『浦和の男』『俺たちの啓太』と呼んでもらえるようになり、そのことを誇りに思ってきた。浦和以上に愛せるチームはありません。『浦和の男』で始まり、『浦和の男』で終わります」と、スタンドを真っ赤に染めたサポーターに伝えた。

「一緒に仕事をできたのは光栄であり、彼から学ぶこともあった。私は啓太をメンバーに入れる決断をした。もちろん状況に応じて起用したい」とペトロヴィッチ監督が試合前日に語っていたとおりこの神戸戦で、鈴木は第2ステージ6節の新潟戦来、11試合ぶりにベンチ入りを果たす。ただ、試合は序盤に3点を先取しながら、一時1点差にまで詰め寄られる展開に。加賀が負傷退場するアクシデントもあり、鈴木はピッチに立てなかった。

 試合後のセレモニーでは、背番号13の赤いユニホーム姿で鈴木がセンターサークルに登場。同い年の阿部と那須から花束を受け取った。そして5万人以上の観客の前で、「たくさんの方に支えられてきた16年間。浦和でプレーできたことを誇りに思っています。有難うございました」とあいさつ。

「16年前、このクラブと契約を交わした日を忘れることはありません」

 そう切り出した鈴木は時折涙を拭いながらも、力強く言葉を並べた。

「あの日から、浦和レッズの一員としての人生が始まりました。素晴らしいチームメイトやスタッフとサッカーができたことは幸せでした。僕は上手な選手ではありませんでした。でも、勝利のために走り続けてきたこと、それが僕のプライドでした。サポーターの熱い声援がいつも背中を後押ししてくれた。本当に感謝しています」

 そして06年のリーグ優勝、07年のアジア・チャンピオンズリーグ制覇などを振り返り、「人生の情熱に溢れたこの時間をみんなと過ごせたことは、最高に幸せでした」と力を込めて語った。

【J1 PHOTOハイライト】浦和 5-2 神戸&鈴木啓太 引退セレモニー

 さらに「皆さんにご報告があります。鈴木啓太は今シーズン限りで引退することを決めました」と、今季限りでユニホームを脱ぐことを発表。「僕の愛する人たちに直接伝えたくて、この場所で発表することにしました」と、これまで胸にしまっていた想いを明かした。

 最後は「シーズンは続きます。チームとして全力で戦います。熱い声援をお願いします」と呼びかけ、チームメイトとともに場内を一周。「啓太コール」と温かい拍手が響き渡るなか、鈴木はサポーターに手を振り感謝の想いを伝えた。チームメイトに背番号と同じ13回の胴上げをされ、鈴木も最後は満面の笑みを浮かべた。
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