「ウタカ頼みが大きい」なかで38歳のFWをどう生かすべきか? 甲府在籍21年目のバンディエラ、山本英臣の回答がさすがだった

2023年02月12日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「ウタカ自身もコンディションをもっと上げていかないといけない」

横浜戦に出場したウタカ。前半終了間際にゴールを決めた。(C)SOCCER DDIGEST

[FUJIFILM SUPER CUP]横浜 2-1 甲府/2月11日/国立競技場

「ウタカのクオリティを頼りにしているところは今の現状では非常に大きい」

 富士フイルムスーパーカップの横浜戦後、甲府の篠田善之監督がチームの現状をそう明かした。確かに1-2で敗れたこの一戦でもピーター・ウタカは44分に同点ゴールをマークしており、ストライカーとしての存在感は示している。

 一方、ウタカの運動量が少ない現実もある。実際、走行距離9.812キロメートルは、フル出場したフィールド選手のなかでは最低の数値だった。篠田監督が言葉を続ける。

「(トップ下の)長谷川元希選手とウタカをどれだけ近づけさせられるかを模索しているなか、今日は彼(=長谷川)の守備の負担がすごく大きかったので、それによりアタックに移った時にウタカが孤立するところがあった。ウタカ自身もコンディションをもっと上げていかないといけないと感じています。チームとして攻撃の起点をウタカに、とキャンプからずっとやっているので、継続してやりながらも、その時々の状況を見てフレッシュな選手も使いながら、バリエーションを増やしていきたい」
 
 活用法次第では、チームの強みになる可能性も、弱みになるリスクもあるウタカ。38歳のFWをどう生かすべきなのか、選手サイドの意見として山本英臣にも話を聞いた。

「ウタカのタイミングで縦パスをさし込めればチャンスになるとは分かっている。でも前線であれだけ動かないと孤立してしまうところもある。パスを出そうと思ってもオフサイドだと思って出せないシーンもあって。そこは僕もそうですけど、他の選手がウタカにどうしてほしいか、というところを要求すれば、ウタカも頭の良い選手なので、その要求に応えてくれると思う。今はまだウタカに遠慮しながらやっているように見える若手もいるので、これからはそこをもっと詰めてさらに求めることも必要。他の選手が彼を生かそうと思うことも必要。もう一回、僕が中心となってすり合わせないといけない」

 さすがは甲府在籍21年目のバンディエラ、と感じさせられる回答だった。チームの浮き沈みの歴史を知る山本が挙げたポイントはコミュニケーション。お互いに要求し合い、意見をすり合わせられれば、最適解が見つかるということだろう。

 果たしてここから、ウタカの生かし方をどう改善していくのか。少なくとも、経験豊富な山本がいれば、明るい未来に向けて着実に歩みを進められるとは思う。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)

【PHOTO】ヴァンフォーレ甲府|出場14選手&監督の採点・寸評。新加入ストライカー・ウタカらが最高点
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事