「他愛もない話だよ」指導者1年目の中村俊輔が伝えられること。実際のプレーでも説得力「キレキレよ」

2023年02月09日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「日々勉強」と充実の表情を浮かべる

指導者として新たなキャリアをスタートさせた俊輔。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 チームの輪から外れて、1人でミニゴールを片付ける姿があった。

 ホームに名古屋を迎える2月18日のJ1開幕戦まで、残り2週間を切ったある日の練習でのことだ。

 昨季限りで26年間のプロ生活に幕を下ろし、今季から横浜FCのトップチームコーチに就任した中村俊輔は、指導者として新たなキャリアをスタート。練習の下準備や後片付けなども、その仕事の1つだ。

 フィジカルトレーニングでは、ストップウォッチを片手に時間を測る。ミニゲームでは選手たちと一緒にプレーもする。時折、ポケットから練習メニューが記されたメモを取り出して確認すれば、スタッフと密に話し込んだりもする。

 選手たちとは異なる黒のジャージを着用。「どう? コーチっぽく見えてきた?」とおどけてみせる。チームは1月8日に始動。宮崎での1次・2次キャンプを終え、横浜で活動するなか、俊輔は「日々勉強」と充実の表情を浮かべる。

 指導者としてのルーキーイヤー。ともすれば、できることは限られているのかもしれない。それでも、選手たちからすれば、昨季までは"チームメイト"だった俊輔は、気の置けない存在でもある。
 
「アドバイスをもらいやすくなった」「話を聞きやすくなった」といった声が聞こえてくる。俊輔も、選手たちとの距離感を大事にして、折を見て、助言するようにしているという。

「ちょっと呼んで、『あのトラップがさ』とか。ほんと、何でもない時だよ。風呂に入っている時や、食事のバイキングで選んでいる時とかに、『今日、あれ良かったよね。あれでもっと遠くを見れたら』って。他愛もない話だよ」

 何気ない一言だとしても、後進たちが"気づき"を得られるように働きかけているのだろう。現役時代さながら、抜群の視野の広さで周囲をよく観察し、「俺ができること」を続けている俊輔は、相も変わらず、サッカー小僧でもある。

 ビブスに袖を通し、選手たちに交じってボールを蹴ることもある。「キレキレよ」とニヤリ。極上のテクニックは今も錆びついていない。言葉でも伝えるが、プレーでも示す。ピッチ上で"実践"できるのも、大きな強みだ。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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