【フットボール温故知新】第2回:レオナルド

2015年11月19日 けりだおれ太郎

ピッチの中でも外でも男前を貫いた貴公子

ファンタジー溢れる左足で観衆を魅了し、その人懐っこい人柄も愛されたレオナルド。左の写真はそんな“レオ様”のプロデビューまもない貴重なカット。 (C)Getty Images

 古きを温ねて、新しきを知る――。大阪弁を操る覆面ライターが、サッカー界を彩ったレジェンドの秘蔵フォトを紹介しながら、その人物像や逸話を好き勝手に語り尽くす不定期連載。第2弾の今回は、ブラジルが誇るエレガントな左利きの貴公子、レオナルドだ。
 
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 この貴公子が現われるまで、僕の中で「レオナルド」といえば「レオナルド熊」以外の何ものでもなかったんやけど、94年のワールドカップで見初めた瞬間、名前の響きとそこから受ける印象が180度変わりましたわ。
 
 ブラジル伝統の攻撃的な左サイドバック。ジュニオール、ブランコ、ロベルト・カルロス、マルセロと名手は枚挙に暇がないけど、94年のレオ様の切れ味も相当なもんやった。
 
 まねき猫みたく手首を曲げて疾走し、独特のステップで敵DFを翻弄。元々は前めの選手なんであれっきりのコンバートやったけど、"世界デビュー"はホンマに鮮烈やった(エルボーでの一発退場を含めて)。
 
 ちなみに上写真の左は1988年、フラメンゴでプロデビューを飾ってまもない18歳の頃のカット。惚れ惚れする男前やねぇ。ジーコやベベットを擁する大スター軍団にまじって揉みに揉まれ、限られた出場機会の中で懸命のアピールをしたはった。
 
 でもって90年にサンパウロに移籍し、名将テレ・サンターナの薫陶を受けて一躍ブレイク。国立競技場でミランを下してトヨタカップを制したりと、スターダムを一気に駆け上がるんですなぁ。
 
 日本でもプレーしはったが、何よりもその人格者ぶりは有名やね。
 
 ずいぶんと親日家にならはったようで、ジーコ・ジャパンがヨーロッパ遠征した時なんて、ミランの強化スタッフとしてしょっちゅう来てくれてた。でもって記者陣に超が付くくらいフレンドリーに接してくれて、これがまた爽やかなんやねぇ。
 
 あんだけビッグネームで、あんだけ気さくでナイスガイって、そうそうおるもんやおまへんで!!
 
 とはいえ、ミランやパリSGのような魑魅魍魎(ちみもうりょう)がはびこるメガクラブで要職を歴任したんやから、実際のとこは図太い神経の持ち主やったんかもしれまへん。
 
 いまはフリーのよう。どこぞかのJ1クラブで監督やってくれまへんかね?

文:けりだおれ太郎

【著者プロフィール】
けりだおれ太郎/80年代フットボールの郷愁にかられつづける、謎の大阪弁ライター。『週刊サッカーダイジェスト』元編集長との噂も。44歳。
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