【番記者推奨!名古屋のブレイク候補】両利きを武器に多彩な仕掛け。肉体改造で逞しくなった甲田英將は“良い選手”から“怖い選手”に!

2023年01月30日 今井雄一朗

相手との対峙ではハンドオフの活用も視野

キャンプで好プレーを見せている甲田。写真:今井雄一朗

 来るべき2023年シーズン、リーグを盛り上げるのはいったい誰か。新たなスターは生まれるのか、未来を切り拓くニューヒーローは出現するのか。番記者推奨のブレイク候補、今回は名古屋グランパスのMF甲田英將だ。

――◆――◆――

 ルーキーイヤーの昨季にもブレイクの兆しは感じられた選手だが、負傷によってシーズンの半分ほどはプレーしておらず、今季こその期待を込めて背番号33を推す。

 小柄だが敏捷性に優れ、何より必殺のドリブルのキレを両足に宿すレアな男だ。初見では誰もが左利きと見間違うボールの持ち方をするが、実は右利き。ゆえに右サイドでは右のクロスと左のカットインシュートを、左ではその逆のプレーを見せることができ、さらには右サイドで右足、左で左足のニア抜きシュートも得意とする。

 つまり、一度ドリブルをしだせば手数もバリエーションも豊富であり、プロのスピードにも慣れた現在はパスの選択肢をちらつかせる。DFにとっては厄介極まりない選手であり、沖縄2次キャンプでの今季最初の練習試合でも、J2千葉のDFたちをきりきり舞いさせた。

 2年目の今季はその武器を磨きつつ、チームカラーであるインテンシティの部分にも着手。まだ身体の線は細いが、昨年5月に負った左膝半月板損傷の治療中に鍛え上げた上半身は力強さを増しており、キャンプでの練習中でもDFを背負うこともいとわなかった。
 
 前線3トップやウイングバックでの起用にも、その運動性と体軸の強さで果敢に挑み、「1年間試合に絡み続けるためには守備の意識を高めないと」とポジティブに語る。アカデミーの先輩でもある藤井陽也曰く、甲田は筋肉がつきやすい体質でもあるらしく、肉体改造はさらに進んでいくことも期待できる。

 甲田もドリブルの基本形は変えないというが、相手との対峙においてはハンドオフの活用も視野に入れているようで、「相手DFも強いので、腕の力だけで押さえつけられてしまうこともある。そういう場面では自分も腕でやり返すぐらいでやっていければ、さらにドリブルの幅が広がるのではないかと思う」と力強い。

 このプレシーズンでは1次キャンプ最終日の紅白戦で2得点を挙げ、2次キャンプでも長谷川健太監督自らアドバイスを送る姿が見られた。3トップにしてもウイングバックにしてもライバルは多いが、"両利き"のプレー幅の広さと突破力、パンチのあるシュート力は甲田のストロングポイントとしてしっかりアピールもできている。

 指揮官は昨年、甲田の名前を出して「"良い選手"で終わらず"怖い選手"になってほしい」と語っていた。そのために必要なのが結果、数字であることは本人も自覚している。舞台はどこでもいい、まずはプロ初得点を決めることができれば、甲田英將のブレイク街道は拓けていくはずだ。

取材・文●今井雄一朗(フリーライター)

【布陣図】2023年シーズン J1全18クラブのポジション別最新序列

【PHOTO】際立つデザインがずらり! Jクラブの2023年シーズン新ユニホームギャラリー

【PHOTO】得点力アップへ和泉・ユンカーら加入した名古屋が沖縄でキャンプを実施!
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事