遅々として進んでいないのが、韓国代表監督の後任探しだ。

　現地１月18日にスペインのメディアが前バレンシア監督であるホセ・ボルダラス氏が有力候補に挙がったと報じ、韓国メディアはようやく飛び出した具体名に色めきだったが、情報の信憑性はどうやら乏しい。ボラダラス氏はラ・リーガの監督以外に関心を示していないとも伝えられている。

　そんななか、第２弾のスマッシュニュースがブラジルから舞い込んできた。なんと今度は、ブラジル代表監督を退任したばかりのチッチ氏に大韓サッカー協会（KFA）が白羽の矢を立てたというのだ。同国のスポーツ放送局『TNT』は、「カタール・ワールドカップ後に韓国代表監督の座を退いたパウロ・ベントの後任として、KFAがチッチに就任オファーを出した。2026年のワールドカップ終了までの契約だ」と説明。しかしながら、「チッチは即座に断りを入れた」という。

　チッチ前監督と韓国代表と言えば、カタール・ワールドカップでのひと悶着が記憶に新しい。

　ラウンド16でブラジルは韓国と対戦し、４－１の快勝を収めた。その試合でブラジルが３点目を決めた際、ゴールセレブレーションにチッチ監督も参加。恥ずかしがりながらも選手たちに促されて"鳩ダンス"を披露して話題を集めたが、韓国のファンやメディアはこの振る舞いを屈辱的と捉えて猛バッシング。元アイルランド代表MFのロイ・キーン氏も「場違いな振る舞いで観ていられなかった」と糾弾した。

　ブラジルが準々決勝のクロアチア戦でPK戦の末に敗れると、韓国メディア『SPOTV NEWS』は「韓国戦で踊ったブラジル、本当の『ラストダンス』になった。サンバのリズムはクロアチアに殴打されたのだ」と揶揄した。

　そんな因縁もあった61歳のチッチ氏だが、KFAはクラブレベルでの圧倒的な実績とブラジル代表を６年半に渡って指揮した手腕を高く評価したのだろう。だが、けんもほろろに断られてしまったのだとしたら、なんともトホホな話だ。
 

　現地１月８日、新たにKFAの代表チーム強化委員長に就任したミヒャエル・ミュラー氏は、「次期監督の選定はまったくの白紙の状態から始まる。少しずつ絞り込んでいきながら、最適な人物を探し当てたい。当然、現時点で特定の候補者はいない。焦ってもいないし、３月（の国際Ａマッチ）には間に合わないかもしれない」と展望を明かしていた。

　一方で韓国のファンやメディアは、具体的なアクションがなかなか見えてこない進捗状況にヤキモキしているようだ。ライバルであるお隣りの日本が、早々に森保一代表監督との契約延長を決定したのも無関係ではないだろう。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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