【大宮】J2優勝はスタートライン。次の目標へ、オレンジは再び昇る

2015年11月15日 土地将靖

ホーム最終戦は2点を先制される「今季を象徴するゲーム」(澁谷監督)に。

昨季はホーム最終戦でJ2降格。あれから約1年が経ち、今季はJ2優勝と1年でのJ1復帰を見事に決めた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 今季開幕前にクラブが掲げた公約どおり、大宮はJ2優勝でのJ1復帰を1年で果たした。一時は2位との勝点差が16にまで開き、そのまま独走で楽々とゴールテープを切るかとも思われた。しかし、シーズン終盤に失速して磐田と福岡に追い上げられた。そして、優勝を決めた大分戦も、「今年を象徴するようなゲーム」(渋谷監督)となってしまった。

【J2 PHOTOハイライト】大宮がJ1復帰&J2優勝

 大宮の試合前に行われていたゲームで3位につける福岡は勝利したが、前節終了時点で勝点2差につけていた2位の磐田は引き分けた。結果、勝てば優勝と昇格が同時に決まるという状況下でのキックオフ。

 "この試合で決める"という選手たちの気迫が表われた立ち上がりだった。3分に家長のクロスに合わせたムルジャのシュートがポストを叩き、9分には左サイドの崩しからムルジャが決定的場面を迎える。時折、大分に攻め込まれる場面はありながらも優勢に進めた前半だったが、得点が決まらない展開に、大黒柱としてチームを引っ張ってきた家長は「ちょっと嫌な予感がした」と振り返った。

 その「嫌な予感」が後半に的中してしまう。49分にGK加藤が弾いた敵のシュートのこぼれ球が、カバーに入っていた大屋の身体に当たってオウンゴール。先制を許してしまった。さらに54分にはCKからニアサイドで相手が逸らしたボールが渡部の頭に当たってゴール(記録は大分・若狭の得点)。アクシデント的な2失点に、「やばいと思った」(横山)。選手たちの気持ちも折れかかった。

 だが、それでもチームは「変に慌てて前に出て3点目を奪われるのは嫌だった。まずはボールを動かすことを意識した」(渋谷監督)と、今年掲げてきたサッカーを信じてプレーを続け、逆転を狙った。

 そして69分、"ここしかない"というシュートコースでムルジャのスーパーゴールが決まる。かつてないほどヒートアップしたスタンドと一体になったかのように、ここからは一気呵成に大宮が攻め立てた。81分に大屋のクロスのこぼれ球をムルジャが身体ごと押し込んで同点とすると、86分にはゴールに向かって突進したムルジャが相手DFに倒され、主審の笛が鳴った。

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