「事実ではない!」「年俸も条件も合意していた」蔚山現代が天野純の主張を真っ向否定で“嘘つき騒動”はドロ沼化の様相!ホン監督は「私の考えに変わりはない」

2023年01月17日 サッカーダイジェストWeb編集部

「天野にとって尊敬に値する監督でありたかったが…」

天野(右写真)を巡る移籍騒動。批判の的となった蔚山現代とホン監督(左写真)が一気の反攻に転じた。(C)Getty Images

 もはや騒動は反論に次ぐ反論で、ドロ沼化の様相を呈してきた。

 事の発端は、現地1月11日、韓国Kリーグ1部・蔚山現代を率いるホン・ミョンボ監督による怒りの告発だった。2022年シーズンを共に闘った元日本代表MF天野純が今オフ、最大のライバルである全北現代に電撃移籍した事実を受けて、その振る舞いを糾弾。会談の場で天野本人から「お金は重要じゃない。僕は残留する」と確約を得ていたが、裏切られたと吐き捨てたのだ。「私に嘘をついて出て行った。彼は私がこれまでに出会った日本人の中で過去最悪だ」とまで言い放った。

 一方的に批判された天野も黙っていない。翌日、新天地となった全北現代(横浜F・マリノスからのレンタル移籍)の始動日に緊急会見を開き、ホン・ミョンボ監督の主張を否定した。「監督は僕が嘘つきだ、お金で選択したなんて言っていましたが……そんなことはなく、事実ではありません」と困惑した表情を浮かべ、原因は蔚山現代側がいつまで経っても正式オファーが出してこなかった点にあり、「本気で向き合ってくれている感じがしなかった。シーズンが終わってからも、日本に帰ってからも正式なオファーはありませんでした」と突っぱねた。

 さらに天野は「タイミングとしては、全北から正式なオファーをもらった次の日に(監督との)ミーティングが設定されました。それまでなんら交渉の話なんてなかったのにいきなりです。そこで『残る』とは言いましたが、結果的にその後もクラブから正式なオファーは届かなかった。契約延長の意思はないんだなと思いました」と不信感を口にし、「現場とクラブの間の温度差に戸惑っていました」とも明かした。
 
 天野の悲痛な訴えに対して、韓国のメディアやファンからはホン・ミョンボ監督の敬意を欠いた発言に手厳しい意見が寄せられた。とりわけ国籍を持ち出して批判したスタンスが非難の的となり、『My Daily』は「ホン・ミョンボ監督が突っ走り、天野は落ち着いた対応。勝負は分かれた。二人の最初の対決は天野の勝利で終わった」と評し、「口でした契約は契約ではない」と断じた。

 しかしながら、事態はさらなる進展を見せるのだ。1月16日、蔚山現代はホン・ミョンボ監督とクラブ強化の要人2名が壇上に上がって反論会見を実施。天野の主張を「事実ではない」とことごとく否定し、交渉の経緯をまとめた文書をもって真っ向から反論したのである。

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