「このままじゃ終われない」丸岡伝統の14番を背負う2年生エースが“特別な16分間”で得た学び【選手権】

2023年01月01日 安藤隆人

1年生時からエースナンバーを託されてきた

悔しい終戦となった今大会。丸岡の14番・渡辺祥気は来季への想いを新たにした。写真:梅月智史

高校選手権2回戦]日体大柏 2-0 丸岡/12月31日(土)/県立柏の葉公園総合競技場

 丸岡の14番と言えば、現チームを率いる小阪康弘監督をはじめとした歴代の中心選手が背負う伝統のエースナンバーである。

 今季のチームの14番は、2年生ボランチ・渡辺祥気。1年生の時から14番を託され、レギュラーを張ってきた彼は185センチの高さと足下の技術を持ち、中盤でタメを生み、両足を駆使したパスで攻撃のリズムを作り出す。夏のインターハイでは渡辺が軸となって丸岡は多彩な攻撃を披露し、日大藤沢、市立船橋を連破してベスト16に食い込んだ。

 注目の2年生として出場した今大会だったが、彼の思い描いていたものとはほど遠い展開となってしまった。

 1回戦の高知戦ではスタメン出場したが、プレーに精彩を欠いて67 分で交代。2回戦の日体大柏戦ではベンチスタートとなり、0-1でリードを許した後半27分に投入されるも、流れを変えることはできずに追加点を奪われ、チームは0-2で敗れた。

「何もできなかった。終わってから気づくことが多くて、あっという間に終わってしまった大会だったし、もっと自分にできたことはあったなと思います」

 試合後、彼はこう話して唇を噛んだ。
 
 怪我をしていたわけではない、ただパフォーマンスが良くないという理由で、本来は絶対的な存在であったはずが、そうではなくなった。それは彼自身が一番よく理解していた。

「夏以降、自分のプレーの調子が上がらずに、チームに必要なことが徹底されていなかったと思います。理由は自分のプレーに奢りがあったからだと思います。絶対に試合に出られるような立場だったので、その立場に自分の気持ちが緩んでしまって、重要な選手権の直前でこういう状況になってしまった。プレーに波があるのは昔からなのですが、それが悪い時がちょっと続いてしまって、『やばい』と思いはじめたのが遅かった。本当に気づくのが遅すぎたと思います」

 大会直前の浜松開誠館との練習試合あたりから、自分の立場が揺らいでいることが分かった。そして日体大柏戦の前日にスタメンが発表され、そこに自分の名前はなかった。

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