【韓国メディアの視点】Kリーグは“リストラの嵐”。日本行きが噂される韓国人監督の去就は?

2015年11月10日 慎武宏

元気が良いのは全北現代くらい。他のクラブは経営不振で…。

母体企業の現代自動車の強力なバックアップのもと、Kリーグを連覇した全北現代。ACLではG大阪に敗れて準々決勝で姿を消したが、「来年はかならずACL優勝チームになれるよう徹底的に準備する」とチェ・ガンヒ監督は宣言する。(C)Getty Images

 全北現代がKリーグ連覇を達成した。
 
 全北現代は11月8日の36節・済州ユナイテッド戦で勝利し、リーグ戦2試合を残した状態で今季の優勝を早々と確定。4月5日から首位の座を守り続ける独走での連覇達成の背景には、選手補強のために金を惜しまない果敢な投資も常勝の要因に上げられている。
 
 世界5位の自動車メーカー『ヒュンダイ自動車』を母体企業とし、そのヒュンダイ自動車からの強力なバックアップのもとで毎年のように大型補強を重ねてきたチームは今季、キム・ヒョンイル、イ・ホら元韓国代表らを補強。シーズン途中には韓国代表でカタール・リーグでプレーしていたイ・グノ、スペイン人FWウルコ・ベラ、ブラジル人MFルイスなども加えるなど、常に補強に積極的だった。
 
 補強を含めた選手人件費の総額は、一説によると300億ウォン(約30億円)とも言われている。準々決勝でG大阪に敗れACLのタイトルは逃したが、ヒュンダイ自動車は引き続きクラブへの支援を惜しまない方針で、全北を率いてKリーグ史上最多4回の優勝監督となったチェ・ガンヒ監督も、「来年はかならずACL優勝チームになれるよう徹底的に準備する」と、早くも来季への意欲を見せている。
 
 まさに全北現代は名実ともにKリーグ・ビッグクラブへの道を邁進しているわけだが、ほかのクラブに目を転じてみると、厳しい"リストラの嵐"が始まりそうな気配だ。
 
 というのも、2位の浦項スティーラーズ、3位の水原三星など一流財閥傘下の"企業クラブ"の来季予算の大幅削減が囁かれているのだ。
 
 企業クラブは母体企業から広告宣伝費として落ちてくる支援金が後ろ盾になってきたが、近年は韓国経済の不振による親会社の業績悪化でその額が大幅削減。当然、選手人件費もかなり減額される傾向にあるのだが、とあるエージェントによると、浦項はさらなる規模縮小を強いられることになりそうだという。
 
「製鉄大手ポスコが親会社の浦項は、親会社の業績不振で近年はかなり厳しい台所事情にある。今季はシーズン中にクラブ代表が2度も替わるなど親会社のテコ入れも激しい。一説よると、来季人件費はさらに30億ウォン(約3億円)の削減が決まったという。主力選手の大量放出も免れない状態だ」(エージェント)
 
 このエージェントによると、今季で契約が切れるGKシン・ファヨン、MFファン・ジス、MFキム・テスら主力との再契約は難しく、3人の放出は確実だという。
 
「彼らを含め、今季終了後に契約満了となる各チームの主力選手は海外に出る可能性もあるだろう。行き先としては金銭的に魅力な中国や中東。Jリーグに行こうとするのは、大学や高校のアマュアが多い」

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