“トルメンタの呪縛”を乗り越えて――高川学園が2得点で富山一を下し16強入り【選手権】

2022年12月31日 渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)

新技“ニアメンタ”を披露

右利きながら、左足で強烈なミドルシュートを突き刺した実森。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権2回戦] 高川学園2-0富山一/12月31日/ゼットエーオリプリスタジアム

 高川学園は初戦となった2回戦で名門・富山一と激突。前半に3年生MF実森大翔のミドルシュートと、2年生FW山本吟侍のPKで奪った2ゴールを守り切り、2-0で勝利を収めた。

 先制弾を決めた実森は「新チームになってから、全国大会で1勝もできていなかったので、まずは1勝できて良かった」と胸をなでおろした。

 前回大会で旋風を巻き起こし、4強に進出した高川学園。その代名詞とも言えるのが、『トルメンタ』(スペイン語で嵐の意)と名付けられたセットプレーだ。

 キッカーがボールの前に立つと中央で待ち受ける5人の選手たちが"グルグル円陣"を敢行。手をつないで何度か回転すると、キックされた瞬間にドッと散らばって各々がゴールを目ざす圧巻の"飛び道具"だ。

 しかし、今年度のチームではまだ一度もそのトルメンタでゴールを奪っていないという。メディアでも広く取り上げられたトルメンタは対戦相手に研究され、新チーム発足後の新人戦では「手もつながせてもらえなかった」(実森)というほど対策され、インターハイでは披露したが、結果につながらず、半ば封印された状態だった。
 
 それでも2点リードで迎えた後半23分、CKを得るとニアサイドに集まった3選手が手をつないで小規模のトルメンタを発動。得点には結びつかなかったが、今大会のために改良を重ねたプレーだった。

「ニアでトルメンタする"ニアメンタ"です。練習時の予想と相手の守備の位置が少し違っていて成功しませんでしたが、次は決めたい」(実森)

 この日は"ニアメンタ"以外にも、CKの際に5人が一列に並んでしゃがみ込み、キックと同時にファーサイドの選手が走り出す新技も披露。まだ名前はついていないものの、「ほかにもいくつかセットプレーは考えています」(実森)と次戦の成功へ期待を膨らませた。

 同校の江本孝監督は「セットプレーは相手に邪魔されずに自由にできるプレー。選手たちが存分にやればいい」と選手たちの自主性に任せているという。

 お家芸から得点は奪えなかったが、同校の伝統とも言うべき創意工夫で再び旋風を巻き起こせるか。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)

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